滑頭

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリーの滑頭のレビュー・感想・評価

4.2
コレはヤバい…。問答無用にテンションブチアガる…。
詳しい感想と点数は2回目観た時に。

2回目。
これは1回目の時にも思ったけど、最後40分が120点で、そこまでの1時間半は80点って感じなんだよね。

今回はキャストがめちゃくちゃ良い。新鋭フェリシティ・ジョーンズは、フォースとかは持ってない一般人感と、一本の映画を背負う主人公感の両方を兼ね備えていて、良い。
『ナイトクローラー』、『ジェイソン・ボーン』と頭角を現してきたリズ・アーメッドは、小汚くて小物感あるけど愛嬌のあるボーディー役を好演してる。(ボーディーは、「フォースの覚醒」のジョン・ボイエガ=フィンと同じようなキャラだな、と。元々帝国側なんだけど、本当は帝国側の精神は持ってなくて小さな力と大きな勇気で反抗する下っ端、っていう。)
こういう若い旬な役者も使いながら、マッツ・ミケルセン、フォレスト・ウィテカー、ドニー・イェン、ベン・メンデルソーンといったベテランも世界中から集めて、
アラン・テュディックという色んな映画を陰で支える、地味だけど芸達者で確実な役者も呼んできて、
もう、最強の布陣だね、って感じです。

国際色豊かなのがまた良いですよね。選抜オールスター感というか。ジャスティン・リン監督の『ワイルド・スピード』シリーズみたいな感じ。イギリス出身のフェリシティ・ジョーンズ、メキシコ出身のディエゴ・ルナ、中国出身のドニー・イェンとチアン・ウェン、オーストラリア出身のベン・メンデルソーン、デンマーク出身のマッツ・ミケルセン、ポーランド系アメリカ人のアラン・テュディック(しかも劇中ではイギリス訛りでしゃべってる)、パキスタン系イギリス人のリズ・アーメッド、アフリカ系アメリカ人のフォレスト・ウィテカーという、国際色の豊かさ。白人ばっかだったスター・ウォーズシリーズ(特に旧三部作)の中で、明らかに一番国際色豊かなキャスト。時代ですねぇ。

キャラクターが良いですよねぇ。お気に入りは、チアルートとクレニックとK-2SO。
ドニーさん演じるチアルートは、ジェダイでも無いのに強すぎじゃね?という意見も分かりますが、ドニーさんなので良いじゃないですか。盲目くらいのハンデは無いと1人で全員倒しちゃいますよね。宇宙最強。目が見えない分、心眼が鋭くて、色んなことがお見通し。で、うるさい笑 から、相棒のベイズにツッコまれる。この2人の関係性はC-3POとR2-D2のようだと思いました。戦闘能力は大違いですが。今までドニーさんの映画は、実は一本も見たことないのですが、今作一本だけで完全にファンになりました。
クレニックも、演じてるベン・メンデルソーンの魅力がデカい。ベン・メンデルソーンの演技がめちゃくちゃ良い。冒頭のシーンで、「ライラが亡くなって…」と言うゲイレンの言葉に対するリアクションの仕方とか、ベイダー卿の前での振る舞いとか、奇襲を受けて焦りすぎてしばし動けなくなるところとか、とにかく演技が良い。オーストラリア訛り(追記:クレニックはオーストラリア訛りではなくて、イギリスの労働者階級訛りのようです。なんにせよ喋り方が良いって話です。)の英語もめちゃくちゃ魅力的。(コメントで追記)個人的には、『イングロリアス・バスターズ』のクリストフ・ヴァルツ=ハンス・ランダを想起させました。冒頭のシーンもまさしく『イングロリアス・バスターズ』の冒頭みたいだし。ショシャナ=ジン。まあ、『イングロリアス・バスターズ』の冒頭は凄すぎるから…それと比べちゃうと見劣りするけど、映像のダイナミックさとかは負けてないし、ベン・メンデルソーンの演技の魅力は、クリストフ・ヴァルツにも負けてないと思う。
そして、K-2SO。元帝国のロボットって設定がまずアツい。『ターミネーター2』みたい。シックなデザインはアイアン・ジャイアントみたいでクールだし、背が高いところは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のグルートみたいな存在感。(どっちもヴィン・ディーゼル)そして、ジョークのセンス。これは『インターステラー』のTARSを思い出したな。そんな、最高な要素が詰まった最高のキャラクターだったな。C-3POともカブらないし。素晴らしい。

良いところは語り尽くせないな。たくさんあるんだけど、一個は、バカっぽさ。良い意味で。スター・デストロイヤーを刀みたいにしてもう一基のスター・デストロイヤーの上の出っ張ってる部分を削ぎ取るとか、"マスタースイッチ"ってネーミングとか、そのマスタースイッチの見た目の"ザ・スイッチ"感とか、コードが引っかかっちゃうって『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の時計台みたいな展開とか、そういう描写のバカっぽさが、いかにもハリウッドの娯楽大作らしくて好き。
他にも細かいセリフとか描写とか、好きなとこはいくらでもあるんだけど、終わらなくなるからやめておきます。

一方、良くないと思うところは、フォレスト・ウィテカー演じるソウとマッツ・ミケルセン演じるゲイレンの扱いとか。もうちょっと活躍しても良かったんじゃないかなぁ。でも、この映画の一個のテーマが「バトンタッチ」だと思うから、そのバトンタッチ感ということで、演出してることだと思うから、まあ、仕方ないか、とも思うけど。
ゲイレンからジンやボーディーへ、ソウからジンへ、と渡ったバトンをローグ・ワン全員で繋いでいって、最終的にジンが同盟軍へ、同盟軍がレイアへ、と繋いで終わるこの映画。そしてエピソード4の冒頭でそのバトンはさらに、レイアからR2を伝ってベン・ケノービへ、そしてルークへと伝わっていくわけで。そのバトンのことをレイア初め同盟軍の皆、ローグ・ワンの皆が、「希望」=HOPEだと思っていて、そしてエピソード4の副題が「新たなる希望」=A NEW HOPEだと。まあ〜よくできてるねえ〜スター・ウォーズは。
今回は、微かな希望を信じている「名もなき英雄たち」の物語なんだよなぁ。それが本当にアツい。チアルートとベイズの話とかもねぇ。ジェダイもフォースも見かけなくなっちゃった世の中で、フォースを心から信じ続けるチアルートを、コイツ頭おかしいんだよ、みたいにバカにしながらも、腐れ縁みたいに付き合い続けるベイズが、チアルートが最期を迎えた時、今まで散々バカにしてきた"フォース"の存在を、自分も信じる、というアツい展開ね。本当に泣く。
話が逸れちゃったけど笑 特にフォレスト・ウィテカー演じるソウがもうちょっと活躍しても良かったろうと思うなぁ。あの、変な生き物にボーディーを襲わせるシーンとか謎だしなぁ。要らないだろうアレは…。
そう、要らないだろ、ってシーンとかカットは実際多かったんだよなぁ。前半1時間半は。良いところもたくさんあったんだけどねぇ。イマイチパッとしないんだなぁ前半1時間半は。

でも後半が最高だから結果最高なんすよね。後半40分はずっと最高だし、特に後半5分が本当に最高だからなぁ。
最高でした。

2016/12/16 @新宿バルト9
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