アダコン

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリーのアダコンのレビュー・感想・評価

4.0
何回目かの鑑賞。

スターウォーズ史上最も生々しい物語であることは間違いない。
これまでの本筋がスカイウォーカーという血統を追うSFファンタジーだとするなら、今作はSF戦争物にカテゴライズされるだろう。

スターウォーズというファンタジーを支える、言い方は悪いかもしれないが、“モブ”に当たる人々にスポットを当てた今作は、本筋の物語より生々しく、現実的で、だからこそ人々の胸に響く作品になったのではないか。

その感動の他に、技術的なサプライズも魅せてくれるからファンとして嬉しい。
ターキン総督やレイア姫のCGによる再現度は素晴らしい。顔がそのまま、実写との対比による違和感もなく、既に存在しないのに存在する。彼らをスクリーンで観れた事に喜びが止まらない。

ここからは悔しいポイント。

言わずもがな、スターウォーズという作品が生まれるきっかけとなったのは、日本の侍文化であり、三船敏郎の殺陣の凄まじさにルーカスが惚れ込んだからである。
"ジェダイ"という言葉は"時代劇"をもじったものだとか、ジェダイの服装は侍の服装を真似ているものであるとか、どうやら日本の侍文化がスターウォーズの誕生の要因であるようだ。

それを考えると、今作を見て、少し悔しいと感じてしまった。

フォース信仰者であり盲目のチアルートがかの有名な座頭市をリスペクトしてキャラクター設定していることは間違いないだろう。そして彼を演じるドニー・イェンの殺陣も素晴らしいもので、彼が棒状の武器でストームトルーパーをバカスカ殴って圧倒していく様は見事だった。

だから、悔しいのである。スターウォーズ自体が日本の侍文化をもとにしたものであり、チアルートが座頭市をリスペクトしているとするならば、なぜこの役を日本人が演じることはなかったのだろうか。中国市場の巨大さ故という事は言うまでもないだろうが。

かつての高倉健のような、三船敏郎のような、ハリウッドをはじめとした海外を唸らす俳優がいないことを残念に思う。
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