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キング・アーサー の_Stroszekのネタバレレビュー・内容・結末

キング・アーサー (2016年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

2017年。6世紀に成立したアーサー王伝説にゆるっと基づいたファンタジー。

ガイ・リッチーのお家芸であるホモソーシャルなケイパー物を、円卓の騎士で行なっている。

以下、史実に照らし合わせて気になった点。

伝説上のアーサー王の父親ユーサーの弟が、5世紀前半に実在した人物であるブリテン人の首長ヴォーティガーンということになっている。

830年代から侵入し始めたはずのヴァイキングが登場。史実ではヴォーティガーンは、ピクト人とスコット人の侵入を防ぐために大陸からサクソン族を招いたのだが、この映画ではヴァイキングを招いたことになっている。彼らを出してるのに船で到着する場面を描かないのはどうかと思う。

前世紀までブリテンを支配していたはずのローマ人の影響は見えない(巨大な橋くらい?)代わりに、イングランドの国家意識が強い。ローマ人が「アングル人の土地」と呼び始めたのは、アングル族やサクソン族が定住したのちだから、ブリトン人のアーサー王伝説で「イングランド」という名称が出てくるのはおかしい。

アジア人のカンフー・マスターが活躍。

ロンディニウムとウェールズにあると思しき王の居城の距離が不明。

しかし上記のような大胆な演出部分よりも、全体的なトーンの不整合の方が気になった。『指輪物語』や『ゲーム・オブ・スローンズ』のような魔法の登場するファンタジーをやりたいのか、それとも男同士のチームワークを描いたケイパー物をやりたいのか、不明。

「男が惚れる男」としてのアーサーを強調するためか、王妃グィネヴィアと彼女と不倫をしたランスロットは出てこない。周囲の男性たちの、アーサーに対する熱い信頼と愛に力点を置いている。

彼が聖剣エクスカリバーを振るって力を発揮するのが、育ての姉が首を切られたときではなく、周囲の男たちが自分のせいで命を落とそうとしているときというのは、象徴的なホモソーシャル性である。

象は最高でした。