このレビューはネタバレを含みます
夢が具現化してしまう身寄りのない少年を息子を亡くしてしまった母親が引き取る事になり…というお話。悪夢の化物キャンカーマンが中々怖くていい。あの吸収の仕方は楽しい。
夢が具現化するホラーという題材と大筋の展開は好き。掘り出し物感。
マイクフラナガン監督ってこうみると『大人の事情に振り回される子供と、自身もトラウマを抱えた大人の交流と克服』を描いてるという点で大概一貫してる。これが作家性というやつか…！
旦那さんいい人でお子との架け橋になってて癒しだった。自分の欲もあるけど見切りをつけて子供の事考えてて偉い。夢の具現化能力を活かして過去のリバイバルをしたくなる、というお話運びはなるほどというか、感情移入できて素晴らしかった。
しかしせっかく悪夢が題材なのにメガトリップな幻惑映像などはなくやや残念。基本画面は暗い室内でホラー描写も時間の割には少ないかな。お風呂場のシーンは前振りされてただけにもっと期待してたな…
あと父との関係性の積み重ねを示す演出はあるものの全体としては展開がやや弱い（少ない？）のと、主人公のお母さんが気持ちはわからいでは無いけど結構酷いことをする割に改心のきっかけが印象的なシーンとして存在しないままサラリと転換するのが勿体ない。
中盤の転換（旦那さんがオバケに取り込まれて以降）〜ラストバトルが一応『種明かし』のターンになってるのだけど、そこまで見てると『いや、そんな事かと思ってました』て予想がつく内容をなぞる形になってるのでイマイチ乗らない。キャラもお子がいい子すぎて本気で気の毒になってくる…健気に寝ないようにこっそりカフェイン錠剤飲んでたり泣かせるじゃないの。
上記はちょとなー、程度の引っかかり点だったが、良き事げに終わったラストのお母さんのモノローグが酷い。ifに子どもを元気つけたいという希望を乗せて話す空想話は美しくていいが、結局まだ子供を現実改変の道具にしようとしてるじゃん？という内容。看過し難い。かわいそ！
子供の為に現実を捻じ曲げようとしてて表裏一体だがお前はワンダを見習え！
主人公が成長したようでまた全然繰り返しそうという…無化しちゃうラストだったな。キャンカーマンの真相は泣かされるだけにその後にお母さんがこれじゃあおいおいってなっちゃう。この子はまだまだ災難に振り回されそうだな…がんばれ👍汗
