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人生の約束のKUBOのレビュー・感想・評価

人生の約束(2016年製作の映画)
3.5
予告編で「第1回監督作品」と謳って、この豪華キャスト! 石橋冠って何者なんだ?と思ったら、テレビ界の大物だったんですね。でも「池中玄太80キロ」とかタイトルしか知らない私は先入観なく監督デビュー作を見てきました。

舞台になるのは富山県の新湊、四十物町(あいものちょう)。死んだ親友を訪ねて訪れたこの町で、IT企業のワンマン社長、中原は曳山のことで対立する2つの町の問題に巻き込まれていく。

主人公のIT企業社長に竹野内豊、対立する町の青年団団長に江口洋介。2つの町の町長に西田敏行と柄本明。他にも松坂桃李、優香、小池栄子などなど、ほとんどの役がおなじみの顔で埋まっている。ほんのちょい役でビートたけし、立川志の輔など、これでもかというオールスターキャスト! お祭りのような作品だからキャスティングもお祭りのような感じなのかも。ただ、そんなオールスターキャストの中でただ一人の新人、高橋ひかるがいい。近頃珍しい清純派な感じで、これから伸びてきそう。

物語は四十物町の人々が曳山と「つながる」ことを理解していくことで、中原が友を思う心を取り戻していく様を描くが、その死んだ親友「塩谷航平」の姿がシルエットと声以外全く出てこない。お骨の前に遺影すらない。話の中心にあり続ける人物が全く出てこないというと「桐島、部活やめるってよ」を思い出すが、この作品では敢えて、この「塩谷」を出さないことで、見る人一人ひとりがそれぞれの「塩谷」を
想定できるように、との狙いだろう。

「人生っていうのは、失ってから気づくことばかりだ」など、劇中に名言多数。最後はもちろん勇壮な曳山まつりのシーンで盛り上がるが、物哀しいテーマ曲と重なり、しんみりとした雰囲気で幕を閉じる。新年1発目の邦画としてはたいへん豪華な作品だ。だが、このキャスティングを豪華ととるか、やりすぎでリアリティを失くすととるかは人によるかな?
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