「誘う処女」というタイトルが身も蓋もなく、少し前にみた「タクシードライバー 奔放な女」同様にセンスのない邦題のせいで損をさせられた映画。
確かにすらっとした肢体は蠱惑的、扇情的で、性に対する経験や知識が希薄であることとその肉体のアンバランスがテーマを補完しているのだけど、原題のスーパーノヴァには及ばない。
ストーリーの細部はよくわからず、とにかく美しい風景の中で、ヒロインのモノローグはいつも官能小説の引用か天文学か物理学について。「ニュートンの家も曲がり角にあったのだろうか」という。ヒロインの家も曲がり角の一軒家で、凄いのはたまに車が突っ込むし、家族はそれを待っているという。
行き詰まったように見える家族の問題も、大人への成長も、宇宙を漂う物質のように外からの力で動かされ、また破壊がなければ生まれ変われない、という話であった。
