兎にも角にもアスカが不憫に思えて、作品の完成度とは関係なくあまり好きになれなかった。
父親は不倫、精神を病んだ母親は自殺と、アスカは誰からも必要とされないトラウマを経て、その反動のようにセカンドチルドレンとしてのアイデンティティと使命感を強く育んだ。
(追記:この過去は新劇では言及されていないことに気づいた。それにしてもだけど。)
その結果、エヴァに乗ることへの葛藤と戦うシンジや、エヴァへ適合させることを目的として造られたレイへ厳しく当たる。
しかし、『破』では彼らやトウジなど同級生の交流を経て、年相応の友情に価値を見出し始める。
その思いを個人回線でミサトに吐露した直後に襲う悲劇には、目が当てられなかった。
ヴァチカン条約で各国のエヴァ保有可能台数は3台までという制約があり、参号機導入のためにアスカの弐号機は稼働不可となる。
それも受け入れた上で参号機に搭乗したのに…。
しかもその弐号機はその後、今作初登場のマリに乗り回される。
庵野秀明はどこまでアスカを虐めたら気が済むんだ…。
基本的にチルドレンたちは、その生い立ちや、そもそも作戦のためにエヴァに乗ることを強要されることが可哀想でしょうがない。
シンジが周りの女性たちにチヤホヤされることも、それのご褒美的にも思えていたが、『破』ではそれを超えてアスカの扱われ方が酷く、シンジにもイライラしてしまった。
ヴァチカン条約の設定は、使徒撃滅の課題も国際社会でのしがらみの上で成り立つことが分かって面白かった。