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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破のsatoshiのレビュー・感想・評価

4.3
【シリーズ強化月間⑥ 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』】


「サービスサービスぅ!」

 シリーズ通して屈指のエンタメ作品。絵コンテを主に担当したのはやはりTVシリーズ屈指の陽性回「アスカ、来日」、「瞬間、心、重ねて」でも絵コンテを担当した樋口慎司。彼の陽性パワーもかなり影響していると思われます。

 そして本作は、かつてないレベルで庵野監督のサービス精神が炸裂した作品でもあります。というのも、本作は徹底してファンが「観たいもの」を観せてくれるから。レイとアスカはシンジを巡ってラブコメやってくれるし、周りの大人はシンジに優しいし、皆ちゃんと前向きにコミュニケーションとってる。

 そしてその結果として本作最大の注目ポイントである「綾波を・・・返せ!」があるわけです。「行動しない。しても上手くいかない」シンジが、レイを救うために全てを投げうつという「主人公」としての役割を果たしてくれます。

 この展開は確かに燃える。しかし、1つの大きな問題点も出てきます。それはこの「新劇場版」シリーズの意義みたいな点です。この『破』は間違いなく「エヴァンゲリオン」を破壊し、新たなエヴァンゲリオンを作り出しました。しかしそれは、王道のロボットアニメでした。元々「新世紀エヴァンゲリオン」という作品は従来のロボットアニメの脱構築作品としての側面がありました。つまりポスト・ロボットアニメ。そのエヴァを、「普通のロボットアニメ」若しくはエヴァから派生したセカイ系作品をなぞるだけの内容にすることは、それは後退なのではないか。そんな疑問が出てきます。この疑問に対する回答は、次作『Q』を待つこととなります。