映画ネズミ

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破の映画ネズミのレビュー・感想・評価

4.2
向いている人:①『新劇場版:序』を見た人
       ②ロボットアニメが好きな人

 さて、「エヴァ」レビュー第2弾です。本作は、『新劇場版;序』からの直接的な続編ですので、『序』は絶対に見ておいた方がイイです。ちなみに、このレビューも、ぜひ『序』のレビューと合わせてご覧いただければと思います。

 相変わらず内容盛りだくさんの『新劇場版』。今回も内容盛りだくさんなので、テーマを分けて進行します。

1 あらすじ、映画のスタイル(ざっくりと)

 北極にある特務機関NERV(ネルフ)の基地で、封印されていた「使徒」が目覚める。謎のパイロット・マリは、旧式のエヴァンゲリオンを操縦し、優れた戦闘能力で「使徒」を倒すことに成功する。
 一方、ユーロ空軍の大尉・アスカが、エヴァンゲリオン2号機のパイロットとして、碇シンジと綾波レイの前に現れる。成り行きでシンジとアスカの共同生活が始まるが、早くも新たな使徒が出現する……。

 「エヴァ」4部作の第2作は、とにかく「使徒(=敵怪獣)との戦闘シーン」がぶち込まれている「物量編」でございます。

 冒頭の北極基地での戦いから、衛星軌道から隕石のように落ちてくる使徒との戦い、エヴァンゲリオンの機体を侵食する新型使徒との戦い、そしてクライマックス、エヴァンゲリオンの兵装でもなかなか倒せない最強の使徒との戦いまで、とにかくバトルに次ぐバトルです。

 『序』と同じく、大まかな流れは、昔のアニメシリーズに沿っています。

 しかし、

  ・冒頭に出てくる女性パイロット・マリは、本作で初登場の新キャラ
  ・冒頭に出てくるエヴァンゲリオンは、初登場の機体
  ・使徒の造形もテレビシリーズとは違う
  ・細かいエピソード、キャラの性格も大幅に省略、あるいは変更されている

 ので、話としては完全に別物になっており、ややお話が駆け足気味だった『序』よりも、だいぶ見やすい話になっていると思います。


2 「エヴァは難しい!」と思う人へ

 『序』のレビューで書き忘れたのですが、「この人のセリフの意味を考えているとストーリーを見失う要注意キャラ」がいます。

①お父さんの横にいるおじいさん(冬月副司令)
②ミサトさんの横にいる白衣のお姉さん(赤木リツコ)
③最後だけでてくる美少年(渚カヲル)
④メガネっ娘(マリ)

 この4人は、全員、魅力的なキャラクターなのですが、「一歩引いた視点で『難しい言葉』を言う」という特徴があります。言葉の意味を考えていると、余計に頭がこんがらがって、ストーリーを追えなくなるので、特に初見の方はご注意ください。

 分からない言葉が出てきたら、「何か意味ありげなこと言ってるね~」くらいでいいです。


3 『序』からさらに進んだ『破』の面白さ

 戦いの舞台となる第3新東京市の驚きのギミックが次々と登場、そこらじゅうに配置されたミサイルや大砲、ビルがシールド代わりになったり、はたまた足場代わりになったり……どうやって維持してんだココ??と言いたくなりますが、あまりにも豪快なので、かえって楽しいです。

 主人公シンジ君のドラマにも、変化があります。

 勝気な少女・アスカに翻弄されたり、綾波レイが意外な役割を果たしたり、父・碇ゲンドウとの関係も、一進一退ながらもお互いに歩み寄ろうとするところが見られたり、前作よりも、そして元のテレビシリーズと比べても、「シンジ君自身や、登場人物の関係性が『前に進んだ』感」があります(タイトルも「君は前に進める(かもしれない)」ですしね)。

 そして、クライマックス。エヴァの攻撃すら跳ね返す最強の「使徒」が登場し、全員が大ピンチに陥ります。

 ここで、あのシンジ君、男を見せられるか? という局面がやってきます。

 このバトルは、新劇場版全体の中でもハイライトですね。『序』から続く感情的な伏線が、すべてひとつに集約され、ジーンときますし、登場人物と一緒に「頑張れ!」と応援しながら見たくなります。

 ここは、「エヴァ」への思い入れが強い人ほど、感動する場面になっているとは思いますが、『新劇場版』から見ている人も、「シンジ君とお父さんの関係」と「綾波レイの立ち位置の意味」さえ分かれば、十分感動できますよ!!

 とにかく、あのシンジ君が、初めて自分以外の人のために命を懸ける、奇跡のような「男の戦い」が描かれます。テーマ曲も、最高に盛り上がります。


4 終わりに

 メインキャラの魅力を改めて感じる第2作。さて、シンジ君はタイトル通り「前に進む」ことができるのか!? そして、第3作『Q』では一体どうなるのか!?

 もう1回、レビューが続きます。もう少しご辛抱ください。
映画ネズミ

映画ネズミ