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僕と世界の方程式のSPNminacoのレビュー・感想・評価

僕と世界の方程式(2014年製作の映画)
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自閉症スペクトラムの少年ネイサンが、数学オリンピックを目指す。甘く繊細な映像と音楽とモノローグで始まり、よくあるふわっとしたイイ話かと思えば、意外としっかり人間模様を見せる佳作だった。台湾合宿や英国代表選考の過程が面白く、周辺の人々がよく描写されている。母サリー・ホーキンスの疎外感、個人教師レイフ・スポールの挫折感、代表チーム監督エディ・マーサンら大人たちが巧いし、ネイサンが惹かれる中国代表女子は溌剌としてとても可愛い。数学チームはみな同類(変人扱い)とはいえそこでも馴染めない者はいて、「死んだオウム@モンティ・パイソン」の彼には心をえぐられる。人と違う=特別と呼ばれることが救いをもたらすだけでなく、時に呪縛にもなってしまう。完璧な正解だった亡き父はネイサンの成長を阻む存在でもあったし、生きづらいのはネイサンだけではない。それぞれの立場に丁寧に寄り添いジャッジしないのが良かった。エイサ・バターフィールドは観た中でベスト、最後に見せる母とのやり取りにホロリ。鼻にポテトで泣かせるとは。
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