くらちたかよし

僕と世界の方程式のくらちたかよしのレビュー・感想・評価

僕と世界の方程式(2014年製作の映画)
4.0
幼い頃に父親を亡くしてしまった自閉症の少年が、得意な数学を伸ばして国際数学オリンピックに出場することに。今まではコミュニケーション能力の欠如と数学だけ異常に出来ることで変人扱いされていたのが一変、もっと出来るもっと変人たちばかりの環境が少年を変えていく…

イギリスの映画なんて観たことがなかったけど、かなりよかった。映像表現も心の揺らぎや緊張感を上手く表現していて、美しい。ストーリーもいい。最後の展開が自閉症についてのリアリティーがあるのかどうかは少し疑問だけど、自閉症にも重度から軽度までいろいろあると思えば納得できる。

主人公が変わっていくきっかけは中国人少女との出会いがいちばん大きいのだろうけど、他にも、全く懐かない息子に愛情を注ぎ続けて得意な数学の道に進めるように尽力したお母さんや、才能はあるのに堕落した先生、他のイギリス代表メンバー達の影響も大きい。その辺りの適度な複雑さが映画の奥行きを上手く作っている。

自分は他の人と違うと悩んで心を閉ざしてしまうのは、誰にでもあること。そんな時に勇気づけてくれる、よい映画でした。