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僕と世界の方程式のkoyaのレビュー・感想・評価

僕と世界の方程式(2014年製作の映画)
4.0
高校生の国際数学オリンピックの話です。

同じく高校生というか高専のロボコンを描いた『ロボコン』で、古厩智之監督が「ロバート・アルドリッチ監督の映画『カルフォルニア・ドールズ』のように気持ちよく勝って勝っていく映画を作りたい」と言われていました。

『カルフォルニア・ドールズ』はアメリカの女子プロレスものですが、苦労の末、最後に大技を決めて勝ってスッキリ!みたいな映画です。

確かに『ロボコン』もダメダメだった第二ロボコン部が奮起して練習して勝つ!という爽快な映画。

所が、この映画は違うのです。もう、寂しげでねぇ。私は寂しげな映画が大好きなのでいいですが、今時の映画はもう「勝つよりも大切なもの」なのかもしれません。

なんといっても、主人公のネルソンは自閉症スペクトラムと幼児期に診断され、表情がなく、気難しく、人から触られたりするのを嫌い、普通のコミュニケーションがとれない、一般社会性がないのです。

しかし、映画『レインマン』のダスティン・ホフマン演じた自閉症の男のように数学に天才的な才能を発揮します。

父を幼くしてなくし、母(サリー・ホーキンス)が苦労して数学の先生をつけますが、この先生もアル中で病気持ち、足が悪い。

数学オリンピックのイギリス代表になるための試験に合格して、さらに本戦に出る6人を選ぶ為の合宿に行きます。

数学オリンピックは中国が強くて、台湾で中国クラスと合同合宿あたりから、舞台は台湾になったりして。

人との接触(握手、ハグ、キス)が全くできない、というのは日本だったらまぁ、いいけれど、イギリスではどうなんでしょうね。

主人公ネルソンを演じたエイサ・バターフィールドが、青い目が印象的なきれいな子だしおとなしいタイプになっているからいいけれど、実際は数学の才能よりも、自己中心的な部分の苦労の方が多いのではないだろうか。(この映画の元は実在する数学者の話だそうです)

ネルソンは「数学のセンスがある」から数学の美しさがわかるのだ、と指導者から言われますが、歌や絵画だけでなく勉強もセンスかもね。

ひたすら努力してもかなわないもの、ってあると思います。

『博士と彼女のセオリー』の舞台になったケンブリッジの風景と台湾の風景の対比が面白かったですね。、
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