自閉症スペクトラム。その特徴は人によってグラデーション状に大きく異なるのに、過去の作品にはその天才性を強調したものが多い。だけど本作は明らかにそれがテーマではないのがとても胸に響いた。
ネイサンと教師マーティンの繋がり。合宿への参加とチャン・メイとの出会いが彼の心に成長をもたらしたように、マーティンもまた同じ病気の人たちのグループに参加し、ジュリーと心を通わせることで少し前へ進む。
障がいは個性という一見美しい言葉があるけど、共に暮らす母親の愛ゆえの辛さはそんな単純なものではない。他者との関わりによって広がる子どもの世界。親にとっては難しい新しい世界へ送り出す勇気。そして人生に必要なのはいつだって愛とユーモアなのだなぁ。
ラストの母との会話がとても好きだった。涙を流すネイサン。「愛し合うことをやめてはダメだ」という言葉を残した父親の真の想いを受け止めた瞬間でもあったはず。
私はこの映画が大好きです。