ふき

インデペンデンス・デイ:リサージェンスのふきのレビュー・感想・評価

3.5
二〇年振りに宇宙からやってきた巨大宇宙船によって包囲された地球で、人類が各々の独立を求めて(?)戦うSFアクション作品。

「今でこそ色々言われているローランド・エメリッヒ監督だが」という枕詞を体現する作品だった。
序盤こそ「この人がウィル・スミスの息子か!」「ヒゲ伸びたねー!」「お前生きてたのかよw」と、前作からの繋がりを楽しめる。だが中盤以降は、それらのキャラクターが掘り下げられる間もなく、新規のキャラがどんどん増えていき、さらに前作で出ていたらしきキャラが説明もなく登場して、色々なところで話が展開し始めるので、「リアム・ヘムズワースの役って親の話あったっけ?」「この人誰? いつからいた?」「この人たちって今なにしてるの?」と何がなにやらだ。
登場人物を三組の男女にグッと絞って、それ以外のキャラクターは一目で「ああ、あの人だ」と思い出せるキャスティングと扱い方だった前作と比べると、この分かりにくさは酷い。
まあそれでも、その辺りのモヤモヤは、凄まじいテンションで展開するクライマックスの面白さ(アホらしさ)で吹き飛ばされてしまう。説明不足もご都合主義も飛躍もひっくるめて「まあこれはこれでいいんじゃない?ww」と言いたくなる。そんな視聴後感を与えてくれたという点において、本作は目くじらを立てるほどつまらない映画ではなかった。

が。
本作の危機は、大陸を覆うくらいの大きな宇宙船が一つやってきて、ちょっと各都市に攻撃を仕掛けた後は太平洋に居座るだけだ。クライマックスも前作並みのサイズの宇宙船一機とエリア51で戦うだけなので、前作で描いた「全世界が宇宙人に包囲されてしまった! だが全世界で一斉に反撃に移るぞ!」というスケールの絶望とカタルシスとはほど遠い。最初の「このままでは地球が真っ二つになります!」が一番ワクワクしただけに、尻すぼみ感が半端ない。
前作では印象的だった破壊された街の光景は、本作では「他の映画で見たような映像」という以前に「洪水のニュースで見たような映像」のショボいバージョンだ。破壊描写がいくら酷くても、その結果が現実の悲劇にさえ負けるとは……。
前作のシークエンスを繰り返すところも、活かし切れていない部分ばかり。
「エイリアンの兵器を使ってるからバリアは破れる」と中盤で見せているのに、クライマックスではバリアが破る展開を見せ場にしてしまっている。エイリアンの兵器がコントロールを奪われる展開も二箇所ありながら、二箇所とも「あ、それでいいんだ」的解決で肩すかしだ。前作ではどっちも人類の知恵で乗り越えていた部分だったのに。

かように「前作では」「前作では」と繰り返したくなるほど、前作のよかったところやできていたことが消えたために、「スケールを広げるあまり、派手なシーンは多いが話は意味不明」という最近の下手な娯楽映画の傾向が強く見えてしまってるように感じた。
とはいえ、それでも一周回って面白く感じられる作品ではあるので、見て損はしない……と思う。私は嫌いではない。

監督がゲイだからか、そこそこで描かれる男同士の友情や、「ホモホモしいと思ったらやっぱりホモじゃないか(歓喜)」な場面は嬉しかったです。でもだからといって、男女間の恋愛が「入れろと言われたから入れました」程度の距離感でしか描かれないのはどうかな?
ふき

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