ねこまち

ヒメアノ〜ルのねこまちのネタバレレビュー・内容・結末

ヒメアノ〜ル(2016年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

予告編が面白そうだったので観に行きました。

前半は冴えない岡田くんは職場のキモい先輩が想いを寄せるめちゃくちゃ可愛いユカちゃんに告白され付き合うことになる。今まで趣味もなく味も素っ気もない毎日が彼女と出会いカラフルに。先輩役のムロさんはめちゃくちゃ気持ち悪いし、挙動不審でケタケタ笑ってしまいました。特に失恋し、もう高校野球のセイレンを彷彿させる「あーーー」の雄叫びが最高に気持ち悪くて最高でした。ユカちゃん役の佐津川さんはめちゃくちゃ可愛いし、エロいし、男だったら付き合いてえ!羨ましいぜ!岡田くん!みたいな感じでどうなるこの恋は??ってルンルンで楽しんでました。
その裏で偶然再会した岡田くんの同級生の森田くん。彼は突発的で理不尽な殺人を繰り返し、ユカを付け回すようになる。森田は一緒にイジメを受けていた和草と共にイジメの主犯の河島を殺害した事をネタに恐喝していた。和草は婚約者と共に森田に立ち向かうが殺害されてしまう。
おい!なんで自首しなかった!婚約者よ!あんたは「ずっと待ってる!」って二時間サスペンスドラマのヒロインみたいに待ってりゃよかったんだよ!河島は2人をおもちゃみたいに人間の尊厳を踏みにじった結果だから、どうでもいい!生きてたらキャバクラで「俺〜昔やんちゃ過ぎて〜」とかアホみたいな顔して武勇伝みたいに語り出すようなクズになるんだよ!そして、河島殺害を機に森田はモンスターへと変貌していた。いや、イジメを受けてる最中に感情を失くし、尊厳をなくし、生きる意味をなくし、形付けられ、目覚めてしまったのだ。
森田vs和草と婚約者が殺人劇を繰り広げている中、岡田とユカは愛を確かめ合っていた。生を象徴するセックスシーンと殴られ死を遂げるシーンのコントラストが印象的でしたね。
私は森田は河島の殺害を機に覚醒したサイコパスモンスターなのだ。河島の死体に精液をかけてるシーンがサイコパス感を彷彿させていた。だけど、イジメのシーンを時々思い出して苦しんだり、カツアゲにあってボコボコになったシーンを観て、彼は河島を殺しても、10代のイジメの呪縛から解かれてないのだ。だって許せてないし、忘れてないから。
殺人を繰り返し、安藤先輩も暴行され、ユカに襲いかかる。岡田は森田にした過去の仕打ちを悔います。だけど、彼は覚えていない。陳腐な言葉になってしまうが、彼の闇はもっと混沌としているんだと思った。
ラスト、負傷しても、岡田を車に乗せ逃走する。岡田が説得しても止まらない。けれど、白い犬を見つけると避けて車は追突。今まで人の頭もゴミの如く引いていたのに。森田くんは岡田に呼びかける「ゲーム返さなきゃ。」森田くんにとって岡田は高校に入って初めての友達。家で飼っていた白い犬。森田くんの家で2人でゲームをしている。いじめがなかったら、もし、誰かが森田くんを救っていたら、彼らは2人でゲームをする友達で入られたんじゃないだろうか。森田くんが幸せだった時間は高校でできた初めての友達とゲームをした日々で止まっている。森田くんの屈託のない笑顔みたら、ずっとずっと涙が止まらなかった。岡田が知っている優しい森田くんは楽しかったあの日に置き去りにされたままなのだと。
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