ヤッスン

ヒメアノ〜ルのヤッスンのネタバレレビュー・内容・結末

ヒメアノ〜ル(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

面白い。原作未読。
まさに宣伝文句でもある「日常と狂気が交錯する」物語で、その切り替えや交え方が気持ち悪いくらいに爽快。
前半のそこらのラブコメ映画をも蹴飛ばす勢いの日常パート、ムロツヨシ演じる安藤は絶妙な棒読みから出る変人感が楽しいし、嫌でもニヤニヤしてしまう岡田くんたちの恋愛描写も良い。

2人が結ばれ、本当の「ヒメアノ~ル」が始まる。あのオープニングの盛り上げ、タイミング、そこに到達するまでも十二分に面白かった作品が一気に加速する。
命が生まれる行為と命を奪う行為、日常と狂気、正反対の2つの描写が隣り合わせで描かれていく。こここそが本作の真骨頂といえるだろう。

そして前半の雰囲気からは想像もつかない狂気で満たされた終盤、スッと日常に戻ることで物語が帰結する。
岡田くんが渇望した非日常が多大な犠牲と共に訪れ、そして戻るのだ。
学生時代、覚えていたこと、忘れたこと、忘れられなかったこと、それぞれの思いや認識が混ざり合った後、その学生時代1番幸せであったであろう「日常」へと戻り、あるいは思いだし物語が幕を閉じる。
ただの猟奇サスペンスに留まらない怪作だったと感じる。

森田剛の狂気的な演技は言わずもがな、登場する役者さん全てが良い味も出し、非常に素晴らしい作品に仕上がっていた。
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