YUKi

ヒメアノ〜ルのYUKiのレビュー・感想・評価

ヒメアノ〜ル(2016年製作の映画)
4.5
とんでもない作品だとは
さんざん聞いていたけど
予想をはるかに超えたとんでもなさだった。

人間ってたぶん、
理由がわからないことは
どうがんばっても説明も理解もできない。
理由がわからない感情はどうにもできない。

たとえば、
理由がわからない“好き”とかいう感情を
説明しようにもできないのと同じように、
理由が挙げられない感情が持つエネルギーって
潜在意識下に存在する、計り知れないものなんだと思う。

森田剛、これほどまでナチュラルに
得体の知れない、説明がつかない
サイコキラーを演じきるとは思っていなかった。

本人が小柄なせいか
若く見えるというのもあって
“あの頃”が 抜けきっていないように見えるビジュアルも
みごとに恐怖を乗算してるなあと。

序盤からの岡田くんと安藤さんの会話劇から
すでに暗雲立ち込めてるんですが、
岡田と森田が初めて居酒屋で飲むシーンや
その少し前の公園での喫煙のシーンの会話で
すでにぞっとしてました。

こんな目をした人とよく会話できるなって。
もう、目つきと佇まいだけで
凍りつくような怖さ。

タイトルを映し出すタイミングも
上手かったなあ。
本筋は今からかあ‥とゾクゾクした。

ラストはさすがに
警官のクソまぬけさがコントレベルで、
いい加減にしてくれ‥足狙って撃てよって
ちょっとイラついてからの ‥ ‥ ‥ ‥ ‥ ‥

麦茶。

まさかの。

事故のショックで発狂した森田の
あのセリフ、あの回想シーン、
涙止まらなかったよ。

脇を固める俳優陣も完璧なのに
森田剛に圧倒的に持って行かれた作品。

わたしは好きな漫画を映画化されたものに対して
ケチをつけることの方が多いと思うけど
これだけは全く咎めたくなる要素なしでした。
YUKi

YUKi