竜平

グランド・ジョーの竜平のレビュー・感想・評価

グランド・ジョー(2013年製作の映画)
3.9
舞台はアメリカ南部の田舎町。前科持ちの中年男と家庭に問題を抱える少年、ふと出会うことになる二人の交流を描いていく。渋さ香る“男”のヒューマンドラマ。

初老の男「ジョー」を我らがニコラス・ケイジが、酒浸りでロクデナシの父を持つ少年「ゲリー」を『レディ・プレイヤー1』などのタイ・シェリダンがそれぞれ好演。ジョーはどうやら昔ワルで、いろいろ過去を持ちつつたまにキレそうになるとこをちょい我慢もしつつ、今は愛犬と共にわりと平穏に暮らしてる。仕事などは真面目にこなす男で、周りからの人望も厚い。少年ゲリーは多感な時期で若者特有のエネルギーにも溢れていながら、家庭環境に縛られていて半ば窮屈に暮らしている。彼の父親というのがとにかくクソ野郎もクソ野郎で、やがてその存在が大きな弊害となっていく。今作はこのメイン二人の演技、佇まいや存在感が本当に素晴らしいなと。交流の様子がなんとも日常的で、じんわりと信頼関係を築いていく流れには良きほっこり感を覚えるはず。これだけでもなんかずっと見てられるという。自分と似た境遇を感じてか少年をほっとけないような姿だったり、自身にある「他人に深入りするな」的な気持ちとの葛藤だったり、中年男特有の魅力をニコケイがバッチリ体現。のらりくらりな雰囲気ながらかっこいい、きっと彼だからこそ出せる「味」なんじゃないかなと。

結末とかは正直途中で予想できちゃうと思うけど、そこまでの過程でしっかりグッときてしまう、なんとも味わい深い一本。テンション芝居でない方向のニコケイの魅力を堪能できるあたりも非常に良き。
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