emily

5時から7時の恋人カンケイのemilyのレビュー・感想・評価

5時から7時の恋人カンケイ(2014年製作の映画)
3.5
ニューヨークで暮らす作家志望の青年ブライアンは、街角でタバコを吸ってたフランス人女性アリエルに一目惚れ。2人は意気投合するも、彼女からは「五時から七時までの関係」を提案されるのだった。戸惑いながらも会いたい気持ちが先行し、付き合い始めるが。

タバコを吸ってる彼女との出会い。初めの誘い文句が「金曜日ここでタバコを吸ってるの。あなたもくれば?」と言う罪悪感のないオシャレで自然な誘いだった。不倫関係というだけでなく、33歳と24歳という年の差、身長差、格差もあるだろう。あらゆる障害があり、だからこそ自分にないものを持ってる相手に惹かれてしまう。

並木道を引きの固定カメラで2人を捉え、カメラに向かって歩いてくる2人。まだ親密ではない関係、それでも溢れる笑顔からはお互いの気持ちが溢れている。背景に映る街角の風景やプレートを使って綴るメッセージ、ロレックスの街の時計、優しくよりそう音楽もスタイリッシュで、どろどろした不倫というよりはさらっとしていながらピュアで、小説調に心情を交差させることで、男側の気持ちはよくわかるようになってる。

彼の心情に寄り添うように、アリエルの生活空間を閉鎖的に見せ、2人が会ってる時間もやはり、扉を挟みどこか窮屈感を演出し、彼の揺れる心情が手に取るようにわかる。その分女性の孤独や寂しさは分からない。いつも笑顔で余裕があってブライアン側から彼女を見ると凄く大人でセレブに見えるだろう。

外を歩く2人も彼女のルールに則り程よい距離感を嫌味なく保っている。フランス語の良質なギターポップが寄り添い、そこにアメリカナイズなホットドックやポップコーンのブライアン。2人のギャップがそのまま魔力となり、違和感や障害も効果的に、2人の夢物語を盛り上げていく。しかし決して大げさな演出ではなく、1つの大人のラブストーリーとして、サラッと街に溶け込むように寄り添ってくれる。

それは1つの小説を書き上げて、大事に宝箱にしまっておくような、決して現実感はなく、夢物語のなかでフワフワしたままの恋物語。建物と建物の間、扉と扉の間、現実の生活は続いていくが、彼女との恋はずっと生き続ける。それは小説の材料となり、キッチリ鍵がかかったボックスの中で、2人の物語は生き続けていくのだろう。
emily

emily