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シンクロナイズドモンスターのkuuのレビュー・感想・評価

3.5
『シンクロナイズドモンスター』
題 Colossal.
映倫区分 G.
製作年 2016年。上映時間 84分。

アン・ハサウェイ主演で、なぜか巨大怪獣を操ることができるようになった負け組の女子が、自らの人生と世界の危機に立ち向かう様を描いた異色モンスター映画。
主人公のグロリアを演じるハサウェイは製作総指揮も務め、ジェイソン・サダイキス、ダン・スティーブンス、オースティン・ストウェルらが脇を固める。
監督はナチョ・ビガロンド。

ニューヨークで職を失い、毎晩のように酒に酔って暴走した挙句、同棲中の彼氏に追い出されてしまったグロリア。
すべてを失った彼女は生まれ育った故郷の田舎町に帰ってくる。
その一方、韓国ソウルで謎の大怪獣が出現したというニュースが世間を騒がせていた。
テレビに映し出された怪獣の映像を見たグロリアは、ある異変に気づく。
それは自分の動作が巨大怪獣の動きと見事にシンクロしているという驚きの事実だった。
舞い上がったグロリアは、怪獣を操り世界を混乱に陥れるが。。。

予測不可能なプロットと、予想外の展開で善き作品でした。
また、深く興味をそそられ、考えさせられるテーマでありながら、ユーモラスで軽快な場面も多くあり観ていて飽きなかった。
モンスター映画は、デカい獣を使って我々自身の人間の状態を示していると云えなくもない。
せやし、今作品は、個人的なレベルでも、微妙に政治的なレベルでも、怪獣をメタファーとして使うちゅう善き仕事をしているんじゃないかな。
モンスターの使い方が素晴らしい アン・ハサウェイが典型的なお姫様役や女王様役ではなく、もっと面白いキャラを演じているのを見るのは楽しかったし、KAWAゆい。
彼女は輝いてんなぁ(彼女は、映画の撮影中に妊娠後期だったらしい)素晴らしいキャストです。
また、個人的には、今作品は、ここしばらく見た中で最も独創的な怪獣映画の一つであるだけでなく、今まで見たどの大怪獣映画とも違うことは、云いきれる。
現代の怪獣映画と比べると、小規模な予算で作られているが、今作品も、紛れもなくモンスター映画やけど、それ以上のものであることも云える。
しかし、多くの人がこの映画を見て、この映画製作者は才有るヤツか、あるいはイカれちまったヤツなんかと思うやろうし、作品をパッと見た人の多くは、今何を目撃したのかよく分からないと思う。
ただ、今作品は、アルコール依存症、いじめ、人生におけるさまざまな目標やストレスへの対処など、現実的な問題を含むより深い物語を、巨大なモンスターちゅう背景を使って語ってました。
その常識はずれのユーモアとキャラの集合体に慣れるまで少し時間がかかったが、いったん正しい考え方になると、今作品を徹底的に楽しみ、見ているものを楽しませただけでなく、映画が終わった後に考えさせられ、たくさんの反省点を与えてくれる、これは普通のハリウッドモンスター映画ではあまりないと思う。
一見バカバカしく、ハリウッドの脚本をボツにしたような作品に見えるかもしれませんが、その代わりに、とてもリアルでとても人間らしい感情や問題にも触れている、素晴らしいエンタメ作品でした。
これまで観たアン・ハサウェイの出演作の中では、大好きな一作の一つとなったし、これまで観た中で善き演技をした作品の一つやと云えるかな。
あくまでも個人的にやけど。
ユーモラスな演技もさることながら、明らかに深みにはまり、大きな目覚めを必要としている人物を見事に描き出してた。
善き映画やったし、ここ最近じゃ独創的な映画の一つでした。
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