TaiRa

シンクロナイズドモンスターのTaiRaのレビュー・感想・評価

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怪獣版『マルコヴィッチの穴』みたいな。チャーリー・カウフマンっぽさは、奇天烈なアイディアだけじゃなくて、人間のイヤな部分を描くとこにも感じた。

アン・ハサウェイが演じる田舎に帰って来た酒浸りのダメ人間設定は、『レイチェルの結婚』のアル中女の流れ。あとシャーリーズ・セロンがやった『ヤング≒アダルト』のアイツにもちょっと近い。地元のダメな男たち、ダメな元カレを乗り越えないとダメ女は脱却出来ないよ。怪獣とシンクロしてる事に気付く流れは笑える。後半からの不穏な感じも好き。主人公が調子乗ってから反省するまでの展開がちょっと軽い。前半の彼女はもっと悪い人間でも良いと思ったけど、それだと主人公から観客が離れちゃいそうで難しいな。でも、それくらい厳しい方がラストももっとアガったし意味も重くなる。クライマックスまでの流れは上手い。空気の抜けたマットに包まり、サナギの様になった主人公が閃きと決意によって“羽化”し、空に飛び立つ流れが手際良く描かれる。ラストで異なる場所にいる人物同士の切り返しがあるけど、ああいう場所や時間を超越した切り返し好きだわ。主人公の酒で記憶を飛ばす癖が、忘れていた過去に向き合う展開に繋がる感じも上手いと思った。

元の設定通り日本とゴジラ(もどき?)でやったらどうなったかね。ゴジラなら何でもありになった今の方が出来そうだけどな。許可さえ取ればだけど。
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