れじみ

シンクロナイズドモンスターのれじみのレビュー・感想・評価

3.0
珍作…。局所的には200点あげたいが、全体としては70点と言ったところだろうか。明らかに破綻してる脚本だが実は意外に…と言いたいのだが、残念ながらこれは素直に破綻している。この設定を使って撮る人が撮ればおそらく10年代屈指の怪獣映画になったのではないだろうか。

低予算をカバーするための怪獣描写の工夫が面白い。それでいて怪獣自体はデザインはともかくそれなりにきちんとした質感を感じさせる。後半のパシリムを彷彿とさせる激アツのシーンはこれぞまさに怪獣映画!と言わんばかりの映像になっていて、本作屈指の名場面だった。

アル中ヒモ女を演じてもやはりアンハサウェイは魅力的。結局はアン演じるグロリアの成長物語なのだが、シャーリーズセロン主演ヤング≒アダルトを彷彿とさせる。詳しくは言えないがジェイソンサダイキスの怪演っぷりも印象的。

何故ニューハンプシャーの田舎とソウルが舞台なのか。舞台を2017年と仮定して、初めてソウルに怪獣が出現したのが92年。劇中の描写含めてロス暴動関係している?と思ったが、主人公は白人であるし、そもそもロスから遠く離れた東部の話でまるで関係がない。

気になったので鑑賞後に改めて調べてみた。
本作、製作初期段階ではゴジラの画像をそのまま使ったため東宝と訴訟に。その結果おそらく舞台を東京に出来なくなったのでないか。ソウルであることに特に意味はなく(外国人から見て)東京に似ているソウルがたまたま選ばれただけと予想。
そう考えるとラップトップにデザインされた富嶽三十六景、違和感しかない布団(ふとんと発音している)の台詞と言った日本を意識させる描写に納得がいく。つまり設定こそ奇抜なもののそこまで社会性を反映した作品ではないと言う結論に至る。
れじみ

れじみ