CharlieZG

二ツ星の料理人のCharlieZGのレビュー・感想・評価

二ツ星の料理人(2015年製作の映画)
3.8
パリのレストランで二ツ星シェフという頂点を極めながら酒とドラッグに溺れトラブルを起こし信頼を失墜した男アダム・ジョーンズ(ブラッドリー・クーパー)がロンドンのレストランで再起を賭ける話。

有望な料理人に声をかけ旧友トニーの店で三ツ星を目指すのだが、自分の思い通りに運ばないと傍若無人にキレまくるアダムに凍り付く厨房。

高いクオリティを求めているのは分かるが、暴力的な言動のアダムに、観ていても厨房スタッフ同様イラッとさせられる。
ミシュランの星はそのまま店の品格になる訳だから大切なことは分かるが、調査員を特別視する必要があるのか?と思ったら、そこが監督の狙いでは。

スタッフを怒鳴り散らして失敗を嘆いてミシュランの調査に事件まで起きて・・・
それら全てがラストへ向けて加速度を上げて行き一つの答えに辿り着く演出が素晴らしい!
あの最後の賄いの食事の和の中に観ている自分もいるような錯覚まで起こさせるマジック!
ブラッドリー・クーパーをはじめダニエル・ブリュールやシエナ・ミラーなどの迫真の演技があってこそだが、ジョン・ウェルズ監督の手腕も光りまくっている。
それもそのはずウェルズ監督はメリル・ストリープとジュリア・ロバーツの口喧嘩が凄まじい「8月の家族たち」を撮った方。
今作でも人と人のぶつかり合いを見事に描いていて唸った。

料理人を描いた作品はどちらかといえば穏やかで女性的な作風が多い気がするが、今作は無骨で男臭い仕上がり、包丁をピストルに持ち替えれば、このままクライムバイオレンスになりそうなムードもある。

途中のイライラが最後の感動にすり替わる気持ち良さが病み付きになりそうな佳作。
面白かった。


監督 ジョン・ウェルズ

キャスト
ブラッドリー・クーパー
シエナ・ミラー
ダニエル・ブリュール
リッカルド・スカマルチョ
オマール・シー
サム・キーリー
マシュー・リス
アリシア・ヴィキャンデル
リリー・ジェームズ
ユマ・サーマン
エマ・トンプソン
CharlieZG

CharlieZG