ShimaD

二ツ星の料理人のShimaDのレビュー・感想・評価

二ツ星の料理人(2015年製作の映画)
3.9
性格に難がありながらも才能と仲間に恵まれたシェフが再起を目指す、というストーリーがかなりご都合主義で描かれています。
言い換えれば観たいものだけ観せてくれるので、さらりと観やすく、観賞後の後味もスッキリしてます。

フレンチの色彩感覚がとても美しく、序盤の料理&幸せそうに食事を楽しむ人々のビジュアルイメージだけで少し感動。
男性キャストがかなり魅力的で、主人公アダム役のブラッドリー・クーパーはもちろんのこと、ダニエル・ブリュールの演じた、アダムを頼りつつ公私で支えるトニーのキャラがどストライクでした(ネタバレはコメントで)。

前述の通り話はかなりご都合主義。周囲の人間はアダムの引き立て役で、まるで彼を中心に世界が回っているかのよう。
アダムがつまずくと誰かが救いの手を差し伸べる…アダムが立ち止まると誰かが…。
確固たる…というか頑固なほどの信念を持つアダムの変化の理由付けが自己の中になく、いつも他者からの影響というところは不思議です。
大きな挫折を経て人として丸くなり、他人の言葉に耳を傾けられるようになったという成長の証なのでしょうかね(˘ω˘)

とまあ色々と言いましたが、かなり好きな作品でした。
完璧主義故に孤立しがちな職人がリーダーとして、何より人間としての成長を遂げて行く様。
そんな彼に畏敬の念を抱きつつ、日々の激戦を闘い抜き育っていくスタッフたち。
そして見ようによってはクソ野郎でしかなかったアダムを公私ともに支えるヒロイン“達”。
見栄や虚勢、嫉妬や対抗心などに意味はなく、それぞれがプロとしての役割を果たすことがチームにとって何より大切なのだと感じましたね。
スポットライトのときも思いましたが、こういう仕事人映画に弱いのかもしれないです(>_<)
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