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二ツ星の料理人の小のレビュー・感想・評価

二ツ星の料理人(2015年製作の映画)
3.0
難ありな性格が災いし、パリの二つ星レストランから飛び出して3年。新天地ロンドンで三ツ星シェフを目指すが…。

才能は最高だけど、仕事に厳しく、自分の思いのままにならない仲間を怒鳴り散らすシェフが、仲間を信頼し、協力することの大切さを学び、変わっていく。まあでも、あまり感動はなかったかな。

この映画のストーリーは、過去何度か見た少年マンガのスポコンものに似ている。それらのマンガでは結構感動した。にもかかわらず、この映画の感動が薄めだったのは、主人公の天才ぶりがちょっとわかりにくい、料理という題材だからなのかもしれない。

問題を抱えたシェフを仲間が見捨てるどころか、愛情さえ持って接しているのは、彼の類い稀なる才能によるところが大きいと思うけど、その点がどうしても腑に落ちない。

もちろん、映画では主人公の才能をきちんと伝えようとしている。流れるような調理の演技、とても美しく、美味しそうな料理の映像。それだけでなく、早い段階でミシュランの星を持つことの凄さを言葉で説明するシーンもある。しかし、言葉に頼らざるを得ないというのは、やはり伝えることが難しいからなのだろう。

さらにスポコンマンガが、あくまでも全国大会優勝などの目標に向かっているのに対し、この作品は目標にこだわり過ぎた反動が大きかったせいか、スポコンとしての大団円を期待していたら、ヒューマンドラマだった、みたいな。

シェフの描き方、演技はよかったように思う。『ノーマ、世界を変える料理』を見て思ったけど、料理の世界も超一流ともなるとある種の狂気は必要で、ノーマの本物のシェフと比べても、違和感を感じなかった。それだけに自分としては、やっぱりスポコンが観たかったのだなぁと。
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