りさ

二ツ星の料理人のりさのレビュー・感想・評価

二ツ星の料理人(2015年製作の映画)
3.8
料理関連の映画のお気に入りは「幸せのレシピ」で、何度か観てるのですが、今回は気になってたこちらを。

ブラッドリー・クーパーがオレ様だけどしっかり才能あって、白シャツもスーツも似合う男でカッコいい。あと、ジモ大佐……じゃなかった、ダニエル・ブリュールさん出ててびっくりしました。役柄的になかなか難しい役だったと思うのですが、二人とも頑張ったなー……と。

アダムのオレ様っぷりには多少イライラしますが、お酒もドラッグも断って牡蠣剥き一万個達成しての再起ってのはえらい。(けどその途端店辞めちゃうし、最後の一万個目の牡蠣、自分で食べちゃってたような……)
ダメな性格を補ってあまりあるほどに才能がすごいので、結局は周囲もついていくしかないわけで、でも中盤までシェフたちの厨房での大暴れが多くてちょっと引きますね(笑)。トップシェフはみんなこうなの……??

なかなか改心しないアダムが、いろな出来事によって少しずつ変わっていくのがこの映画の見どころですが、それを引き立てるのが美味しそうな料理。
どこの店の料理もすごく美しくおいしそう。調理方法を聞いただけでも最高に美味しいだろうなってわかる感じで(私はバター信者なのでアダムとは気が合うはず)、見た目もとても美しく、盛り付けも全然今風でしたよね。(真空調理を渋々受け入れるとこ、そして途端に活用しまくるとこ好き)
一応ライバルであるリースが作ってくれたただのオムレツでさえもすごく美味しそうでした。

ヒロインも、自分に自信を持ってるしっかりした女性で好きですが、でも一番最初にアダムを信じたの、リトルトニーでしたよね、本当に良い子。ラスト付近の「……ありがとう」は可愛くも切なくもあって、頑張れよ、って思いました。
てか、アダムは男女ともにどんどん落とすからこわい。かつてはレズビアンな評論家とさえ寝てるし……。
ほんとすごい人タラシですよね。

ラスト、スタッフと打ち解けはじめて思う料理を出せるようになった店で、ミシュランが来ても慌てることなく「いつものように」って静かに言うアダムの成長にジーンと来ました。
どんなに才能あってもそれだけではダメで、周囲の人々の支えがあってこそ人は本分を発揮でき、全う出来るのだという、どの世界でも普遍的ながら大事なことを料理の世界でちゃんと描けてたと思います。

今後、折に触れて見返す映画になりました。
りさ

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