みほみほ

64 ロクヨン 後編のみほみほのレビュー・感想・評価

64 ロクヨン 後編(2016年製作の映画)
3.7
ほぉ…人のものを奪った人でも、自分の大切なものを奪われる事に良心を痛める。人間ってなんと身勝手な…。

罪悪感があるから善になるわけじゃない。後悔し悔いる事は出来ても、事実は消えないし戻らないものは戻らない。

この映画が良かったかどうかは別にして、なんだか複雑に考えさせられた。

前編、後編を観て、自分の中に芽生えたのは人間の感情の複雑さや荒々しさだった。

言葉には出来ないけど、なんとなく言いたい事が間接的に伝わってきたのが不思議だった。

苦しかったけど、日本人って、いや、人って伝えるのも 分かち合うのも下手くそだし、無駄に争うし、嫌い合うし、小さな日本列島の中で 様々な事があって、この事件は一握りの話だとしても、この社会では暗く重くなっていくのも 分かる。かといって人が生きる以上、闇がない日は訪れないとも思う。

人間は愚かだけど、逆に奪われたものの執念は決して簡単にはひるまない。そんな強さを感じた。

背負った苦しみと闘う人や、不幸が重なる人、そのへんの苦労を知らない人と比べるまでもなく 輝くように素晴らしいと思う。

少しでも救いのあるラストで良かった。
複雑さを描けるのは邦画ならでは。

そんな泥臭さも好き。
みほみほ

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