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64 ロクヨン 後編のmanamiのレビュー・感想・評価

64 ロクヨン 後編(2016年製作の映画)
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人間ドラマの緊張感に満ちていた前編から、いっきに謎解きの緊迫感全開になる後編。目崎が鬼のような形相で運転し続けるシーンは、こちらも手に汗握るし心拍数上がる。
その目崎を演じる緒形直人、若い頃は甘いマスクかつ繊細なイメージの俳優さんって印象だったけど、今やすっかり渋みのあるおじ様。親と同じ道を進む苦しさは、落ちぶれていってしまう二世芸能人の多さからも推し量れる。親の存在が大きいほど苦労も多いだろうに、ここまでの役者さんになった緒形直人、すごいなぁ。
そして同じく二世俳優の柄本佑、やや頼りないけど真面目で責任感のある二課長役がとても良い。前作から引き続き好演の綾野剛とともに、イケオジ・シブオジだらけの今作で重要な役どころかと。
さらにこちらも偉大な父を持つ佐藤浩市、後編もとんでもなく素晴らしい。「子どもがいなくなることがどんなことか、分かってない!」と憤るシーンは圧巻。しかし全体的には、自身の感情を必要以上に口にしない。にも関わらず信頼や共感、怒り、後悔など彼の心情がひしひしと伝わってくる。
ストーリーも単なるミステリーにとどまらない、重みのある結末。特に真犯人の設定には人間の「業の深さ」を感じる。
全ての問題をすっきり解決させないところもリアリティがあるし、登場人物たちの任務・闘い・日常が今後もまだ続いていくってことよね。犯罪に時効を設定することはできても、人の心は時間で区切れない。

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