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仁義なき戦い 頂上作戦のMASHのレビュー・感想・評価

仁義なき戦い 頂上作戦(1974年製作の映画)
4.0
『仁義なき戦いシリーズ』の第4作目。この次に『仁義なき戦い 完結編』はあるが、脚本家である笠原和夫はこれを最終作として脚本を書いたため、実質シリーズの締めくくりといってもいいだろう。そしてその締めにふさわしい作品だ。

今作は前作から引き続き代理戦争を描きながらも、警察による暴力団壊滅運動との対立も同時に描いていく。今まで広げた風呂敷にさらにシナリオを足して全てを終わらせようとしているので、少しシナリオがぎゅうぎゅう詰めになっている。後半は広能が逮捕されてしまってしばらく出番もなし。

しかしそれだけ中身が濃い分、監督や脚本家が本当に言いたいことがこの映画に詰まっている。それは若者たちの権力に対する反抗と無力感だ。戦争という時代で多くの若者たちが戦場で亡くなり、戦争を起こした張本人である国家の上層部は命を奪われないどころか手も汚さない。ずるくて汚い大人たちだった。そんな時代も終わり若者たちの時代の到来であったはずだったのに、結局は戦争の時と全く同じ、汚い奴らはぬくぬくと暮らして若者たちが無意味に命を落としていく。そして、そんな中でも義理を通そうとし続けた広能も自分たちの時代が終わったのを痛感する。あのラストシーンは戦後を生き抜いてきた人々の無力感をヒシヒシと感じる名シーンだ。

『仁義なき戦いシリーズ』は単なるヤクザ映画ではない。理不尽な世の中でなんとか生き抜こうとした若者たちの権力への怒りと、それに対して抗いながらも何も出来ないことへの無力感を描いた作品なのだ。

どうでもいいけどこのシリーズは日本語字幕なしだときつい!

2回目 4点
(2020年12月7日 DVD)

1回目 4点
(2018年9月23日 DVD)
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