インドノワールとして最高の出来だと思う。
観終わったあとでしばらく世界観にどっぷり浸かってしまった。
実はこの映画、心が野獣と化した人間は二人出てきます。だが、
「暗闇を壊すのは、光だけ」
「憎しみを壊すのは、愛だけ」
この言葉どおり、主人公はかろうじて愛により人間として踏みとどまり
もう一人は、愛を受けることは出来ずダークサイドに落ちてしまった。
つまり敵となる男は、愛を受けることがなかった自分自身であり自分の投影なのだ。したがって野獣一匹なのである。
映画冒頭の部分は劇中でもう一度起こるのだけど、裏側の背景を知ってしまってから見るとまったく違った感情で同じ映像を見ることになるというのも上手い。
そして、ひとりの少年も登場するのだが、この子も主人公がトラウマを受ける前の自分自身であり自分自身の投影なのだ。