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チャンス商会 初恋を探してのmaverickのレビュー・感想・評価

4.6
2015年の韓国映画。
『ミナリ』で第93回 アカデミー賞の助演女優賞を受賞したユン・ヨジョンが出演している作品で、年老いた男女の微笑ましい恋愛が描かれる。


偏屈なおじいさんが向かいに越してきたおばあさんに恋する話。彼の勤務先の社長一派は、おじいさんの恋を実らせようと全面的に協力する。というのも、おじいさんは町で唯一再開発事業に反対する人物で、彼を丸め込んで障害を取り除こうというわけだ。おじいさんとおばあさんのやり取りは初々しくて微笑ましい。頑張ってデートの段取りを考えたり、老人同士だからたどたどしいんだけど、そんなむずがゆい恋がたまらない。あぁこんな年齢になっても恋に浮かれるなんて何て素敵なんだろうと。年老いた男女の恋愛を見守るほんわかした良い話だなと思った。

ところが本作は単なるほんわかした話で終わらない。ほんわかを越えて大号泣の感動作で衝撃的だった。『チャンス商会』というタイトルも、安易でズレてるなと思いきや最後には「なるほど!」と納得する。人生いろいろあるけどそれでもやっぱり素晴らしいと、そう思える素敵な素敵な物語だ。気楽に観れる作品だと思ってチョイスしたら、まさかの大号泣。嬉しい大誤算だった。

ユン・ヨジョン演じるおばあさんが可愛らしい。年齢を重ねてもいつまでも可憐で可愛らしさがあって、こんなおばあさん素敵だな。ご本人もアカデミー賞での受賞スピーチがとても可愛らしくて印象的だった。大ベテランなのに謙虚で茶目っ気があって素敵だなと思った。
偏屈なじいさんを演じるのは、芸歴50年以上のパク・クニョン。前半とっても嫌味な爺さんなのに、恋したらとっても可愛らしいそのギャップがたまらない。このおじいさんの人生は涙なしに見れなかった。
『毒戦 BELIEVER』のチョ・ジヌン、『虐待の証明』のハン・ジミンの助演陣も良かった。若手キャストのコメディに特化した演技が浮いててそこがマイナス点ではあった。

監督は『シュリ』『ブラザーフッド』のカン・ジェギュというのも意外だった。骨太な作品から一転のコメディ映画。でも最後まで観ればそれも納得出来る。これは単なるコメディ作品ではなく、人生を描いた作品なのだから。


生きていると嫌なことがたくさんある。ストレスが溜まってうんざりもするけど、それでも人生は素晴らしさに満ちている。それを教えてくれる温かく優しい作品。父と母に感謝しよう。親孝行しなきゃな。
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