カルダモン

ウイークエンドのカルダモンのレビュー・感想・評価

ウイークエンド(1967年製作の映画)
4.7
土曜日。親の遺産を手に入れるために車で妻の実家へと帰省することにした若い夫婦が、異常な光景に出くわすデスロード。
出だしからしてコリーヌ婦人(ミレーユ・ダルク)が自分の変態セックス体験を男に語って聞かせるというシーンが延々と続き、官能小説の朗読のようで面白い。男が半身を乗り出して聞いてるのも面白い。

旅は最初から不穏な空気が極まっていてソワソワする。夥しい数の車が渋滞している田舎の並木道、鳴り止まないクラクション。横移動のワンカットで延々と。たいした時間ではないはずなのに喧しいクラクションで朦朧としてくる。

ゆく先々で飛び交う罵声、怒号、つぶれた車、燃える車、転がる死体、わけのわからない人物たちとの出会い。随所に差し込まれるテロップが物語を煽り、心は常に平常心を失ってる。イカれているのに美しい。

やがて解放軍が乱入し、銃撃戦が勃発し、この先どうなってしまうのか、話の筋はとうの昔に見失ってる。ゴダール37歳の怒りであったり不満であったりをフィルムに焼いて乱暴に繋ぎ合わせたような。加えて60年代の空気を含めたエネルギーの塊、置き所のなさを感じて、なんというか、いいなと思いました。

人を食ったような、
人を食ってる映画。
お肉のスープおかわり
狂ったように騒々しい週末、
実際に狂っていた。