【沖田作品の中でもなかなかストレートアヘッドな家族の絆物語に“しんみり”させられつつ、ゆるくて温かくてクスッと笑える沖田節は健在！】
久しぶりの実家に帰った息子が病気の父親と久しぶりに親子の時間を過ごしていく中で大切なものを再確認していく、という沖田監督作品の中でもなかなかストレートアヘッドな家族の絆を描いた作品だと思いました。しかも、沖田作品にしては珍しく病気の話なので、本来の内容自体は重めで、“しんみり”という感覚も持つ作品でした。
ですが、“クスッと笑えるゆるくて優しい”沖田節はもちろん健在で、全体的に重く暗い雰囲気になることは一切なく、終始思わずニヤついてしまうコミカルなシーンがたくさん。その中に、ふと心に沁み込む家族愛を感じるシーンを挿し込んでくるバランス感が絶妙です。広島カープがサヨナラ勝ちをして息子に抱きついて涙する母のシーンなど、なかなかグッときました。お母さんは別にサヨナラ勝ちが嬉しくて泣いたんじゃないんだよね。
父（柄本明）と息子の永吉（松田龍平）の関係性はもちろんのこと、義母（もたいまさこ）と永吉の婚約者（前田敦子）の関係性がなんとも心温まります。前田のあっちゃんの演技、ちゃんと見たのは初めてですが、こういう抜けた能天気キャラ、結構ハマってますね！AKBの印象しなかい中（というほどAKBも知らないのですが）、こういう役が演じられるのだ、と新たな発見でした。松田龍平と柄本明の演技は、もはや語るに及ばず、ですね。めちゃくちゃどうでもいいですが、昔の仕事をしていた時の生徒の一人にめちゃくちゃモテる男の子がいたのですが、誰かに似ているとずっと思っていたら、松田龍平であることに本作を観て気づきました。が、別に彼はモヒカンではありません。
あと、私は幼稚園から東京育ちなので、やはりこういうご近所みんなが仲良く支え合っているような生活、憧れます。もちろん隣の庭は・・・な部分もあるとは思いますが、こういう人と人の繋がりは見ていて心温まりますね。
先日観た沖田監督の「子供はわかってくれない」が思ったよりハマらなかったので、こちらはどうかな？という感じでしたが、いわゆる私が好きなタイプのちょっと気が抜けた大人たちを描いた沖田作品でした。
