揚げもみじ

父を探しての揚げもみじのネタバレレビュー・内容・結末

父を探して(2013年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

忘れていた、、、でも多くの人が感じたことのある気持ちを思い出させるそんな作品に思いました。

ざっくり言うと、出稼ぎに出てしまった父を探しに少年が旅に出る話。
前編セリフなしアニメーション!
より感情表現豊かなピクミンとでも思っていただければ(?)イメージしやすいかと思います(笑)

最初に良いと思ったのが絵柄の優しさと懐かしさ。
CGを織り交ぜるとか現代のアニメーションが進歩してる中、あえてクレヨンや水彩で勝負しているところにまずやられました。ところどころで「これ"プロの幼稚園児"(良い意味で)雇って描かせてません?」な絵のタッチが見られたり、切り絵を使って(後半は特に)まどマギみたいな描かれ方してたのが面白く、別ベクトルのアニメの進歩を感じました。

世界のどんな事でも興味を持つ、少年・少女時代ってそんな感じですよね?
ルンルンストーリーを予想してたんですが、実際は結構重いというか、後半は特にそんな印象を受けました。

少年は今まで自分がいた"子供の狭い世界"から、"大人達の社会"に出ていって社会の変化や現実を目の当たりにします。
社会に触れるそんな少年を通して僕は、だんだん夢が見れなくなって現実を考え始めた感覚を思い出しました。
また、環境破壊、戦争、失業する人々など暮らしは昔より豊かに便利になっているけれど、そういうことも忘れちゃいけない、目を向けないとねっていうメッセージも感じました。(絵とのギャップで個人的にはかなりずっしりに感じました)

Q.そんなぁそしたらこの映画は暗いだけなの?
工エエェェ(´д`)ェェエエ工
A.いえいえ。
そんな中でも楽しいことはあるっていうのもこの映画には込められています。

じいさんに感じるせつなさとは別に、
ラストカットで感じる切なさは
ラストカットが"走馬灯の1番平和で幸せだった時の切り抜き"みたいに思えたからなのか、ああいった形で親のぬくもりを感じたり、あの頃の感覚はもうないっていう寂しさ、喪失感?なのか‥‥ 両方なのか?(笑)

まさに大人の絵本!!
(この単語、ある方の書かれてたレビューの中で、めちゃくちゃバチッと自分の中でハマったので使わせてもらいました。)
重たいメッセージ云々はさておき、子供の頃の感覚や記憶を思い出させるだけでもこの映画は観てよかったなぁと思いました。