バルバワ

父を探してのバルバワのレビュー・感想・評価

父を探して(2013年製作の映画)
2.9
ずっと気になっていた今作。観ることを渋る嫁に「ほっこりするから(推測)!めっちゃ優しい気分になれるから(憶測)!」と押しきって鑑賞致しました!

いやぁ、鑑賞後嫁は「…疲れた」と溢していました。どうやらほっこりしなかったみたいですねぇ。
やれやれまったく…私もだ!!

あらすじは田舎に3人家族で住む主人公の子ども(名前は出てきません)の父親が出稼ぎで街に行ってしまう。子どもは父親に思いを募らせ街に父親を探しに行く…的な感じです。

今作は台詞やナレーションがないアニメです。画面は色鮮やかでファンタジックな描写もあり、どこか抽象的な印象が受けます。

ここまで聞くと難解な作品のように思えますが、決してそんなことはありません。
というのも作り手が尊く思っていることと、憎く思っていることがハッキリわかるからでして、例えば主人公の住む地域は非常に色鮮やかに対して、街は色が暗く、ポスターやテレビの中の人々は人間の歯や目を張り付けていて作り物っぽくみせています。
また、作中綿工場が出てくるのですが手作業をしている描写、街で行われているデモ行進は線が優しかったり、色彩豊かだったりするのですが、逆に途中工場に導入される機械や非情な経営者、軍隊は真っ黒で描かれています。
その分かりやすさ"美味しんぼ"のごたる!!むしろ台詞があると説明的かつ説教くさくなるので台詞がないのはむしろナイス判断!←謎の上から目線

見応えはあるし、素晴らしいアニメーションではあると思います。また終盤でどんでん返しがあり「ひっくり返ったッ!( ; ロ)゚ ゚」と嫁と一緒にアホ面ひっさげて驚いてしまいましたよ…!

ただ、前述した通り話の本筋は"父親を探しに行く"というシンプルなものなんですが…中盤から前述した作り手の問題意識や倫理観が話の本筋をブッた切ってきます。嫁はこの中盤の展開にHPを奪われたのだと申していました。やれやれ…私もだ!!←二回目

今作はブラジルで作られたようで、当時ブラジルで内包している問題(政府への不満、貧富の差、劣悪な労働、環境破壊等々)が中盤色濃く出てきているように感じました。
作り手にメッセージがあることは良いと思いますが、そのメッセージが先行し過ぎてキャラクターの個性や内面はほとんど描かれていないのです。
私がアニメに求めているのはやはりキャラクターの個性とドラマです。そこにリアルな現実の問題や作り手のメッセージあることは全然悪く思いません。むしろさりげなく盛り込まれていれば「5億点!!マイリマシタm(__)m」となるのですが、今作のように話の本筋をブッた切ってまで直接的に描写されると「ドキュメンタリーを観たかった訳じゃなぁい~!チガウチガウd(▼д▼三 ▼д▼)b」と鈴木雅之のように歌いたくなるのもまた事実なのです。

素晴らしいアニメーション作品だし、前述した終盤でのどんでん返しで作品の見方がガラリと変わりますが、個人的には好きな作品ではないですね、はい。
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