父を探して(2013年製作の映画)

O Menino e o Mundo/The Boy and the World

上映日:2016年03月19日

製作国:
  • ブラジル
  • / 上映時間:80分
    監督
    アレ・アブレル
    脚本
    アレ・アブレル

    「父を探して」に投稿された感想・評価

    nero
    4.0
    ほのぼの成長譚のようだが、実はかなりの社会派アニメ。自然に生きる少年がたどる旅路は、文明化・工業化・そして全体主義へという人類史を俯瞰するものであり、さらに途中で出会う人々が、自分自身の異なる時間での姿であったというアイロニカルな超展開。これを全編セリフなしで描いてしまう監督の力量に脱帽だ。

    監督はブラジルのインディペンデントアニメ界の新鋭アレ・アブレウ。
    表現はまさに自由自在。クレヨン・パステル・水彩・カラーインクetc、が縦横に駆使される手描き主体の画像は、CMYKの奔流という感じで心地良い。RGBだって同様。蛍光発色や透過光、コラージュ・フォトモンタージュ・実写映像をも駆使して世界を作り上げていく。この表現手法に囚われないフリーダムさが素晴らしい。JJ=植草甚一師なら喜んだだろうなぁ。もう日本ではこういうのは実験アニメくらいで、劇場向けで作るのは無理かもしれないなあ。
    最初は 動く絵本かな?なんて思いながら見てたんだけど、もうそんなレベルじゃなかった


    父の顔が脳裏に一瞬映るシーンとか
    そこら辺にいる人が父に見えて、実は違う人だったってシーンは、絵本の様な絵柄なのに妙にリアルに感じてしまう。

    車の走行時の音が異様に不快な音だったり、近代的な文化を気味悪く描いていたりと、監督の主観を通した現代世界を見ることができる。 そのおかげか政治的なメタファーもわかりやすい。

    ただ最後の方の実写パートはいらなくないかな?実写が急に来たらインパクトがあるのはわかるけど、森林伐採、自然破壊を伝えるのは、別にアニメでも充分伝わるんじゃないかな
    ゆき
    3.8
    出だしからすごく引き込まれました。

    けど中盤?後半?にはもはや「まどマギ」を観ているかのような感覚で、あたたかくて柔らかく描かれているからこそ逆に暗さや恐ろしさが色濃く反映されている感じ。
    怖くもなりました。

    ほとんどセリフなんて無かったから、あの笛の音色や曲が耳から頭から離れない。

    すぅーっ、としている作品。
    まるで催眠術にかかったように画面にすいこまれてゆく。。

    優しい色。あたたかい風。
    素敵な物語の構成と音楽がじんわりと染みてきて、ちょっぴり切なくなる。

    思い出の場所はいつだって色鮮やかで美しい。
    不死鳥のため息や羽ばたきと共に、人びとのココロの一部はいつまでも綺麗なまま、きっとずっと生きつづける。
    unubore
    3.7
    南米作品として初のアカデミー長編アニメーションにノミネートされたブラジル製作の社会派アニメ

    色鉛筆やクレヨン、水彩画など手描きの優しいタッチで描かれた色鮮やかで独創的な絵本の様な世界観でセリフも殆ど無し。さらに主人公が小学生の落書きみたいな簡素なデザインなので序盤はEテレの知育アニメを観てる感覚でふわふわ気分だったのですが
    出稼ぎに行って帰って来ない父親を探しに旅立つ所から急にサイケな映像が混じってきたり徐々に社会派要素が強くなります

    機械化の進歩で変わり行く産業構造や都会の孤独などブラジルの実態にもかなり斬り込んだ内容で終盤はショッキングな演出も有ったり終わってみれば宮崎駿作品と似たメッセージ性を感じる深い作品でした
    享楽
    4.8
    新鮮さと芸術性の高さに類い稀な感動を覚えた一作だった。単純に世界から別の世界へと構築されて行く様が見ていて楽しいが物語の展開も見応えがあり、特に長閑な田舎と都市社会を対比させた表現、とりわけカラフルな鳥と黒一色の鳥の対決は都市が田舎の人間固有の豊かさを搾取していることを象徴したものだがこれは泣ける。あれから少年は、彼の父を父性として内在化し、新たな父として生きて行くのだろうか。
    出稼ぎに行った父を追う息子の話

    色鮮やかな背景と棒人間達と音楽
    言葉はほとんどなくなにを喋ってるかも分からないけど感情を読み取るには十分

    父を追い田舎町から農家、工場、都会やスラムとブラジルの色々な場所へ行く

    幼稚園の頃描いてた絵のような鮮やかな背景に飲み込まれる
    小さい頃見てた世界は鮮やかでフワフワしていて無責任だった

    どう捉えるかは人によって様々だけどラストが素敵でした
    月月
    4.0
    以前から気になっていた作品
    初めてのブラジル産アニメーション

    クレヨン、パステル、水彩、コラージュ…様々な表現方法で、子供の絵が動き出したかのようなかわいいキャラクターと鮮やかな色彩に見惚れてると後半でびっくりするタイプの作品だった。「戦場でワルツを」的な…
    あと設定は少し違うけど「岸辺のふたり」とも少し似てる気がする

    英題の"The Boy and the World"の通り、少年の視点で見た世界の話、ブラジルの現実、一人の人生の縮図。ラストの解釈は無限大。監督はポジティブなメッセージを込めたみたいだけど私は少し切なくなった…

    でも世界は色で溢れてる。

    (公式HPに上がってるメイキングが割と長くて良いので映画を見た後に見ることをオススメ。楽しそうなクリエーションの現場は本当に羨ましい、参加したい
    冒険物語、なんだかちょっぴり切ない。
    Shin
    4.2
    高畑勲のかぐや姫同様、フルCGのハイパーリアリズムなアニメーション全盛の時代に生み出されたことが凄く嬉しい傑作。
    真っ白な画面に豊かな色彩と図形が浮かび上がるように展開される場面の数々が、アニメーションのイリュージョニズムの儚げな美しさをもう一度楽しませてくれる。