父を探しての作品情報・感想・評価 - 3ページ目

「父を探して」に投稿された感想・評価

CHEBUNBUN

CHEBUNBUNの感想・評価

4.3
【猛毒アニメここにある】
『ぼくの名前はズッキーニ』というエクストリームハードなアニメが公開されるが、Netflixにもエクストリームハードなアニメがアップされていた。その名は『父を探して』。アカデミー賞にもノミネートされたブラジル産アニメだ。

可愛くNHKタッチのアニメに油断しがちだが、これがエゲツない。舞台は農村の一家。父は出稼ぎで村を去る。いつまでたっても帰ってこない父に痺れを切らし、少年は都会へ向かう。その珍道中をセリフなしで描く。

ここから壮絶なブラジル社会情勢批判が始まる。巨大農園では無数の人々が、圧の強いボスの元働く。病気だったり、虚弱だと即クビになる。

また少年はある青年の家に上がり込むが、青年は疲れきっておりボーっとテレビを見続ける。少年の質問には答えない。明るく華やかな夢を語るテレビに吸い込まれていくのだ。これって日本におけるスマホ中毒、SNS中毒だよね?と思うと鳥肌が立つ。貧しさと忙しさが合わさると、人から行動力を奪う。日本も他人事ではないと感じた。

そして、不気味な大量生産の仕組みを表す場面等サイケデリックなシーンが畳み掛けてきて1時間の映画にも関わらずどっと疲れた。

これはオススメだ!
どんなほっこりエピソードなんだろうと思ってみたらすごくメッセージ性の強い作品だった。
序盤は少し退屈に感じるかもしれないけど我慢強くみていると引き込まれていくはず。
愛斗

愛斗の感想・評価

3.5
可愛らしい絵柄で油断させておいて後半かなりグッサリくる内容だった。
音楽がすごく耳に残る。気付いたら口ずさんでしまう‥‥
yukichi

yukichiの感想・評価

4.5

非人動的な世界なんて人間のすむ世界じゃない
カラフルさを失うことも忘れて黒みに覆われたことも忘れて光りも影も何者でもなくなるんです。

唯一の救いは鳴り止まない笛の音
~カラフルな世界だからこそ
黒の邪悪さが際立つ~


初めて見るブラジル製アニメーション。
ジャケット画から、ほのぼのした映画かと
思いきや…全然違う!


〈ストーリー〉
ブラジルの田舎町で
少年は父と母の3人暮らし。
父は出稼ぎしに都会へ行ってしまうも、
寂しくて仕方ない少年は
家を飛び出し父を探しに…






少年が社会の矛盾に遭遇しながら旅をする、父親探しと並行して
ブラジルの負の歴史を描くような試み。



絵として。
万華鏡のような幾何学模様のような
オープニング、
クレヨンでのお絵かきのような冒頭、
スタイリッシュにデザインされた
都会で働く人々……と
シークエンス毎に表現方法ががらりと変わる。

それでいて、
バラバラになるわけでもなく
全体として調和がとれている…これがすごい!



そして終わってみると、
ストイックな男の成長物語だった(*_*)


期待値高くなかっただけに、
凄まじい力作に出会えた…
これだから映画はやめられない!(^^♪
マーニー以来の記録超え。5回寝落ち、バットマンvsスーパーマン以来久しぶりに鑑賞挫折し掛けた作品です。

そんなに駄作なの?と聞かれると駄作と言うよりは手書きの絵本のような映画なのでセリフもほとんどなく、画面がスケッチブックのように扱われております。とにかくそれにしては長い!斬新ではありますし、どんな方にも観れる作品ではありますが、それ故に想像の幅が広く何とも拾いどころの多すぎる作品。

いまリオオリンピックでの注目により、その光の下の大きな影にやっと色んなメディアの発信により、様々な問題が明るみに出て参りましたブラジルですがうーん。
この作品で話したいのはジャーナリズム的なところで、それも良いけどそれで監督自身の答えは?と言うところが何も描かれていません。この小さな子供を囲む世界をどうして行きたいのか。
ある一つの答えやそれに向かえる方法の提示や何を一番に考えれば良いのか。そう言った矢印の終着が無いと、やはり纏まりと言うか、それ以前に「作品」になっていないんですよね。高評価作品をこのように書くのは非常にあれですが!
アメリカンニューシネマやネオリアリズモ作品にしても明確な終着は無いけれどその閉塞感からの脱出法やフラストレーションの発散、様々なかたちはどこかに描かれていて、それを監督自身が考えて終わらせ方をした「作品」とそうでないものはやはりその一点だけで全く違った作品が生まれると私は思います。

観る前と観ない前で何も変わらない。
そのような作品は可哀想で終わり、またこの子供が大人になりそのUターンはこの作品じゃあ変えられないし、その作品に賞をあげて触れるきっかけを増やして、50年後に観た人はメタファーの意味を読解して成る程で終わりますよ!こんなのは!いかんですよ!めちゃくちゃでも良いじゃないですか!無冠のフィルムをもっと観ろ!!
映画会社に踊らされるな!!1枚のパンをケチって、何だこの映画はとめたくそに叩かれても何クソと中指立てて懸命に作った傷だらけの映画こそ私は価値があると思うしその情熱はどんなにめちゃくちゃでもバカと呼ばれクソと言われても伝わる人にはちゃんと伝わって一緒に戦ってくれるんですよ!!頑張れ!!もっと頑張れ!映画への情熱を爆発させろ!
まぁ

まぁの感想・評価

4.0
ブラジルのアニメ…初めて…☆

映像と音楽の表現…魅入って堪能〜♪

「時間の経過」「世界中?ブラジル?で起こっている
問題」…を…1人の少年を通して「観る」「知る」「感じる」…*

映像…色遣い、質感などなど…美術に詳しくないので分からないけれど…
様々な技法を使っているのだと思う…☆

…幸せ、悲しい、寂しい、楽しい、嬉しい、驚き…etcといった人間の「感情表現」が…見事…♪
シンメトリー、アシメントリー…etc…映像表現も…素敵…☆

…台詞がないので…ワンシーンも逃したくない…と…(笑)
画面に釘付けになって…(笑)

ラストは……涙が溢れたよ…(涙)
…お父さんの「記憶」に…あの表現は…参った…(涙)

優しいけれど、残酷、無情…そんな事を感じた80分…*
音楽も映像もストーリーも
全部綺麗だった。

台詞が一切ないので、
喜怒哀楽の感覚をよりリアルに感じた。

あと、この制作スタジオにいる犬が可愛かった🐶
矢口

矢口の感想・評価

4.2
両親と3人で幸福に暮らしていた少年。ところがある日、父親が出稼ぎに出るため列車に乗ってどこかへ行ってしまった。少年は父を見つけだし、一緒に帰ろうと決意。こうして旅に出た少年は、苦しむ農民や都会に暮らす孤独な人と出会い、さらには大人や犬、素晴らしい楽隊らに助けられながら父親との再会を信じて歩みを進める。
出稼ぎに出た父親を捜す幼い少年の旅と共に、虐げられる農民や都会における孤独など現代のブラジルの抱える問題をも描き出す。
(yahoo!映画より)
カラン

カランの感想・評価

4.5
パッケージが予想させる「可愛い」感じは、映画が進行するほど消えていく。事態は深刻である。

本作の公開の翌年、2014年はブラジル二度目のワールドカップが開催された。開催国ブラジルは信じがたい点差でドイツに粉砕される。2002年の日韓ワールドカップの際には、陽気なブラジル人たちが、ドイツの強面の守護神の手を文字通り粉砕し、花吹雪の中で優勝カップを持ち帰っていった。それが、自国開催の大会でブラジルは1対7でドイツに負け、プライドも、開催強行の《大義》も破壊されることになった。タレントが揃っていなかっただけではなかった。ベスト4に至るまでに選手達は試合前に国歌が流れれば涙を流し、チリ戦のPKではキックの順番を変えてくれるように監督に頼む始末で、天に祈りを捧げていた。選手達は異常な精神状態だった。優勝する以外になかったが、ドイツ戦に続く3位決定戦でも、オランダにやられる。ブラジル大統領が「国にとって悲しいこと」とツイートするのももっともな結末である。

ブラジルが負けてはならなかったのは、サッカーの試合だからというだけではなかったのだ。開催をめぐって、市民にゴム弾とはいえ、発砲する事態にまで、民衆と政府の軋轢が発展していたからだ。ブラジルの青い空の下で建造中のモダンなデザインのスタジアムの写真を見たのだが、その外では、バスの運賃の値下げから始まったデモが膨れ上がって、軍隊の出動にまで至る民衆の蜂起が行われていた。これが、ブラジルワールドカップの裏側であり、出場した選手への異常なプレッシャーの正体であり、ブラジルの抱えた欺瞞である。権力を握る者たちが富を交換し合って、ゴミ溜めの中に貧しき者を追いやり、非人間的な労働を強制し、さらに搾取する。

なぜ、政府は貧しい者を助けようとしないのか?なぜ、サッカーのスタジアムを新造する前に、病院と学校を作り、健全なインフラを整備しないのか?なぜ、ワールドカップ開催の利益は、贈収賄の権化のような連中の懐に消えていくのに、貧しい者がスタジアムの建設中の崩落によって、死んでいくことになる労働を、日銭と引き換えにしなければならないのか?なぜ、「なぜ?」と問いかける立場の弱い人間に銃が向けられることになるのか?

こうしたデモは、おそらく市民運動家たちが世界の注目を引くようなワールドカップというイベントに着目して、行ったものなのだろう。しかし、ワールドカップや都会の喧騒をよそに、牧歌的な農村が実は過酷で凄惨な状況にあった。そうした世界の盲点でブラジルの民衆が抱いた苛烈なエモーション、つまり怒りと悲哀こそが、この映画の軸となる。この映画に、戦車や装甲車、盾を構えて黒々としたファシストの兵隊のような当局が出てくるのは、偶然ではない。




『父を探して』

小さな白い家に父と母と子が暮らし、家の周辺で作物を育てて暮らしている。このような感傷的でいかにも家族小説に出てきそうな家が、さしあたっての物語の開始地点である。しかしこの開始地点は、永遠に失われ、いつから失われて、誰に責任があるのか、全て判然としなくなり、茫洋と広がる喪失感を残して、廃墟となる。

ブラジルの怒りと悲しみを、パステルを使って、単純な描線だが、豊かな色彩で描く。キャラクターの表情は、ムンクの『叫び』ほどに張力がきいたデフォルメというわけではないが、その表情は危うく髑髏になりそうで、最大限に明るい場面でも一抹の不気味さは拭えない。ストーリーは、オートメイションが進み、小さく貧しい農村から、工業社会に変わるブラジルで、自分の着地点を探すというもの。『父を探して』というタイトルであるが、確かに父を探すのが映画の大半のストーリーでだが、いささかmisleadingなタイトルではある。物語はエンディングに近づくと、『息子を探して』であったのか?と思わせるかのような、展開を示す。いやたぶん、父とか息子とかいう家族心理や性差に基づく役割が問題なのではない。ここに描かれているのは、ブラジルの自己喪失だろう。売れなそうなタイトルだが、『ブラジル、見つからない自分を探して』というのが妥当なのかもしれない。


シェル・シルヴァスタインの絵本The missing piece 『ぼくを探しに』をパステルで描いたかんじであろうか?それに富の搾取と分配、自然破壊、民主主義、技術の功罪、ブラジルの警察と軍隊、大量生産式のファストファッションと貧民の労働といった社会問題を混ぜこぜにして、居場所を失う個人を、激しい怒りと、郷愁よりも物悲しいエモーションで語る物語だ。本作の前年に公開されたアイルランドの神話をベースにした『ソングオブザシー』も、父と母と子を巡って自然との共生が語られていたが、この『父を探して』はそちらより自分が語らねばならない話しをよくわかっており、製作サイドの悲しみと怒りでリアリティに溢れている。

セリフはない。一部会話のシーンがあるが、たぶん何語でもない。文字も反転していて読めるものはでてこない。




☆ファストファッションと疎外の論理

ブラジルは、ダルドリーの『トラッシュ』でもそうであったが、貧困を救済するのではなく、貧者を搾取するような社会構造が大きな、大きな問題になっている。この問題はユニクロのようなファストファッションを生み出し、日常的に《貧しき者の労働》に依存している私たち日本人も、南半球やバングラデシュ、ベトナム等のアジアの人間を疎外するサイクルを回す片棒を担いでいるのだ。

綿花の産業に関する一連の描写は見事である。綿毛にふわふわとした山の中で、子供と犬の戯れ