父を探して(2013年製作の映画)

O Menino e o Mundo/The Boy and the World

上映日:2016年03月19日

製作国:
  • ブラジル
  • / 上映時間:80分
    監督
    アレ・アブレル
    脚本
    アレ・アブレル

    「父を探して」に投稿された感想・レビュー

    COZY922
    COZY922の感想・レビュー
    2017/01/22
    4.0

    どの地点でもいい。大人になってこれまで歩んできた人生を振り返る時、過去ゆえに俯瞰的に見ることができたりする。今の目線とその時見ていた目線。子供の頃きらびやかに見えていたものが ちっとも美しくなかったり、つまらないと思っていたことが どうしようもないほど愛おしく感じられたり。今いる場所は目指していた場所なのか、これから自分が目指すべき場所はどこなのか。ラストまで観ると、そんな瞑想に身を委ねて、思いを巡らしてしまう。

    ブラジル発の長編アニメーション映画。セリフもテロップも無く描かれるのは、出稼ぎに出た父親を探して旅する少年。ほのぼのとしたビジュアルのキャラに、クレヨン画や色鉛筆のようなタッチ、押し寄せる色彩の洪水。それはまるで動く絵本のよう。けれど、物語はその第一印象とは裏腹な風刺的、哀愁的、包容的メッセージを放っていた。セリフの無い映画が如何に饒舌かを思い知らされた映画でもあった。

    家畜が草をはむ平原の小さな家から外界へ出た少年の目に映るのは厳しい現実。スモッグに満ち、車や無機質なビルに囲まれた味気ない風景。真面目に働いている人間でも住めるのはスラム街の狭い部屋。そして 合理性を追求する社会の摂理であるかのように年老いた者は追われ、人手でやっていた仕事は機械に置き換えられてゆく。近代化の中で人が歯車のように扱われるブラジル社会。

    父が吹いてくれた思い出の笛の音は、そんな世知辛く厳しい世の中で沈みがちな少年の心をいつも励ましてくれたことだろう。たびたび出てくる このメロディーは何気なくて のほほんとしているのに、映像の鮮やかな色調効果もあってか 不思議な力強さと温かさがある。少年がメロディーに耳をすますたび、音楽が流れるたびに 苦しい時に支えてくれるのは 日常のなんでもない幸せなんだなと思えて日々を大切にしたい気持ちが募った。

    しかし、私が一番唖然としたのはラストの展開だ。待ち受けていたかのような事実に 軽い衝撃を受け、ノスタルジックな切なさと誰かに抱きしめられたような安堵感とが入り混じって一気に押し寄せてきた。厳しい社会に揉まれ、時には波に浮かぶ木の葉のように流され、社会に特に何の影響も及ぼさない平凡な人生。そんな密やかな人生でもその人生なりに意味があると言わんかのような優しさを感じるラストだった。
    まだ
    まだの感想・レビュー
    2017/01/22
    3.5
    [2017-22]
    台詞がほとんどなく、
    クレヨン?と水彩絵の具?、
    コラージュなどを組み合わせたような
    可愛らしく、カラフルな絵で綴られるアニメーション作品。

    父を探しに男の子が大冒険する話!!
    ………かと思っていたのですが、まさかまさかの展開でした。

    気楽な気持ちで「綺麗!幻想的!かわいい!」と
    (阿呆のように)画面に魅入っていたので、
    メッセージ性の強い、まさかの展開に、
    ズシっと重いパンチを、思い切りくらってしまいました。

    自由な想像力と瑞々しい感性に満ちた
    カラフルで可愛らしい世界。

    それとは対照的な、
    無慈悲で、快楽的で、歪んだ大人の残酷な世界。

    こういう詩的で抽象的な表現は、
    アニメーションだからこそできるのだなーと思いました。
    TSUBASA
    TSUBASAの感想・レビュー
    2017/01/22
    3.7
    【ブラジル製の社会派アニメ】78点
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    監督:アレ・アブレル
    製作国:ブラジル
    ジャンル:アニメ
    収録時間:80分
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    アカデミー賞にもノミネートされたブラジル製アニメ。心が温かくなるソフトなタッチで描かれていますが、実はブラジルの現状を鋭く描いた社会派映画とも言えます。出稼ぎにいった父を探すために、少年はブラジル中を回ります。そこで出会う人たち、目の当たりにする風景、そして最後の衝撃も含めて中々の良作と思われます。

    アニメに限らずたいていの映画には後ろの背景があるのは当たり前ですが、今作にはそれがほとんどありません。かなり白が強調されているのが興味深いです。何か意味があるのかもしれませんが、この設定にすることにより、登場人物が際立っているように見えます。
    幾何学的な文様から始まり、彼とその家族のストーリーが始まります。人物のタッチはかなり特徴的で、昔の童話の絵本のような仕上がりです。最初こそやや違和感があるものの、徐々に慣れてくると思われます。

    父を探すために都会に足を運びますが、そこにはロボットの如く毎日出勤しては黙々と仕事をする人達、そして本格的な機械化によるリストラなどの現実があり、それを目の当たりにした少年は唖然とさせられます。いわゆる行きすぎた資本主義を痛烈に批判していて、これにより本当の幸せが生まれるのか?という重要な問いを示しています。恐らく中盤に出てくるあの街もリオのファベーラでしょう。実写映画であれば、『インクレディブル ハルク』の冒頭部分の逃走劇のロケ地としても登場しました。

    まあでも、ここまではよくありがちな設定であり、特徴的なタッチを除いたらやや平凡かなと感じました。しかし、最後の事実でやや唖然とさせられてしまいます。ただ現実を映すという教訓染みた作品ではなかった。このあたりがアニメで表現したる理由であるとも言えましょう。どこかファンタジックなのに内容は骨太。この調和が良かった作品だと思います。

    台詞はほとんどありません。しかし、台詞などなくても絵で全てが伝わる作品です。思えば今作の製作は2013年。ブラジルにとっては今作は、ワールドカップやオリンピックに備えて自国の在り方を再考する題材にもなったのではないでしょうか。果たしてブラジルは少なからず変わったのでしょうか。
    80分にも満たない作品なので気軽に見れるでしょう。気になる方は是非。
    いそっち
    いそっちの感想・レビュー
    2017/01/22
    4.0
    どの側面で切り取るのが良いか分からないけど。
    主人公の子、労働者(病気してそうな人、少しの自由?を持つ人)、労働の機械化、自然破壊、人間の老い…
    絵や色使いはとても優しいのにインパクトが…
    都市部のコラージュされてる感じと田舎の手描きの対比というか。
    ちょっと哀しくなる映画でした。
    odagasukaru
    odagasukaruの感想・レビュー
    2017/01/22
    3.0
    セリフなしの80分。私にはちと退屈で、眠気との戦いを3度ほどさせて頂きました。絵は可愛いし色はキレイだけど、まず子供は絶対観ても分からないでしょうね。大人でも結構難しい内容です。評価も高く、深いメッセージなんかも感じますが…。
    TATSUYA
    TATSUYAの感想・レビュー
    2017/01/22
    4.5
    ひとまず記録
    松戸のエーちゃん
    松戸のエーちゃんの感想・レビュー
    2017/01/22
    2.9
    出稼ぎのために出かけてしまうパパを探しに行く話。
    台詞無しで独特な作画のアニメ映画かと思いきや、虐げられる農民たちの農村や孤独が巣食う都会な面も出てくるギャップが良い!
    万華鏡をずっと眺めているような作画に、ほっこりとした音楽。そして夢のような世界が永遠と続くので3回観て3回とも寝てしまいました。
    台詞の無い映画は自分にあまり向いていませんでしたが良い睡眠をとれた映画でした。
    yam
    yamの感想・レビュー
    2017/01/21
    3.5
    (いい意味で)安眠映画。絵本のようで、とても心地よくて寝てしまった。最後の方だけ見直したけど、オチを知ってびっくりした。あと途中でいきなり実写のシーンがあって違和感。全部アニメーションの方が良かったような。。
    P1島
    P1島の感想・レビュー
    2017/01/21
    -
    少年の成長物語であると同時に(それも本当に全く「同時」に)、老爺の回顧の物語。
    生、死、戦争、アイデンティティの喪失、技術革新、大量生産、自然破壊、労働、社会格差、民衆の団結、民衆の弾圧……ブラジルだけでなく、世界のどこでも通用する普遍的なテーマを扱った風刺の物語。
    これが、台詞一切なしの純粋なビジュアルストーリーテリングによって語られる。少年の絵本のようなファンタジックな主観が、マジックリアリズム的に現代社会の闇を浮き彫りにし、皮肉る。そして、途中でそれを大人の残酷でリアルな視点が「焼き尽くす」。
    短くまとまっていながら、内容はあまりに豊か。強烈な印象を残す独特で美しいアニメーションスタイルと、胸のうちから何かが湧き起こってくる高揚感たっぷりの音楽。
    これ以上、一体何を望みうるのか。