カツマ

ガール・ライク・ハーのカツマのレビュー・感想・評価

ガール・ライク・ハー(2015年製作の映画)
4.4
ひたすらに辛かった。辛過ぎて涙なしには見れなかった。
この映画は『いじめ』とは誰が悪くて、何が原因なのか、ということを安易に明記していない。一つ一つの言葉は慎重に選ばれているし、いじめる側、いじめられる側のどちらの側にも立っている至極平等な視点を持った作品だ。
この映画の素晴らしいところは『いじめ』というのはこういうものだ、ということを真っ向からまるでドキュメンタリーのようなリアルさで肉薄しているところにある。まずこの映画を見て『いじめ』をしたいと思う人はいないだろう(いたとしたらその人間には良心というものが無いのだろう)

この映画は高校2年生のジェシカが自らの部屋で大量の薬を飲み自殺を図るシーンから始まる。彼女は同級生のエイブリーからいじめられていることを、親友のブライアンにだけは打ち明けていた。彼女が自殺を図る半年前、ジェシカはブライアンからそのイジメの一部始終を録画することを提案される。半年間を録画したその映像は、イジメ問題を取材するクルーへと渡ることに。イジメの証拠は確かにある中でエイブリーは次第に窮地に立たされていくのだが・・。

この展開だと今度はエイブリーがイジメの標的になり、イジメとは負のスパイラルだ!人間なんて醜い生き物だ!とでも言いだげなストーリーが待っていそうだが、そんな底の浅い話じゃない。この映画に描かれているのは負の連鎖ではなくて、悲しみの連鎖。イジメが引き起こした悲しすぎる結果が、心のど真ん中をドリルで穴を開けるかのようにエグッてくる。辛く悲しい結果をこれ以上生み出さないために、この映画は撮られているのだろう。
こちらもNETFLIXオリジナル作品です。ネトフリオリジナルのクオリティが高いことを更に証明した作品ではないでしょうか。素晴らしかったです。
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