TAKU

最後の1本 ペニス博物館の珍コレクションのTAKUのレビュー・感想・評価

4.0
アイスランドにあるペニス博物館に人間のペニスを展示しようとしたことから、300人と関係を持ったという元プレイボーイの名士と巨根の中年カウボーイが自分のペニスを寄贈すると名乗りを上げ、世界初の1本を目指し熾烈なバトルを繰り広げる爆笑ドキュメンタリー。久々に映画館で声上げて笑ってしまった。

最初の方は意外と普通なドキュメンタリーだったりする。というのも、ペニス博物館の館長シッギがあらゆる哺乳類のペニスを集め展示している理由は一貫しているし、人の営みには滑稽さというのがつきものなので、「人間のペニス標本を入手したい」というシッギの情熱は馬鹿げているように見えてしまうのも仕方ないことだからだ。

しかし、アメリカ人トム・ミッチェルが一番にこだわるせいで、映画はトンでもない方向へと向かっていく。そもそも、自らのペニスを“エルモ”と名付け、「展示するなら生きている間にペニスを切除してもいいよ」と言うこと自体普通ではないが、それに輪をかけるかの如くミッチェルは暴走していく。“エルモ”のコミック化を考え、亀頭に星条旗のタトゥーを入れ、シッギには展示する方法を提案したり自撮りペニスの写真を毎日メールで送ってくる。あまりのサイコパスぶりに、変わり者のシッギが呆れてしまう場面は捧腹絶倒だ。この話が明後日の方向へと脱線してゆく感覚は、ドキュメンタリーでしか味わえない面白さだ。

唯一不満があるとすれば、アメリカ人のミッチェルが自分のペニスを寄贈することに執着している理由を、 「一番になること」への強迫というアメリカ的な倒錯だけで片づけていたのは勿体ない。彼がなぜアメリカ的な狂気を抱くに至ったのかにもっと踏み込んで欲しかった。