垂直落下式サミング

最後の1本 ペニス博物館の珍コレクションの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

4.0
アイスランドにある男性器だけの展示に特化したペニス博物館の館主が、展示品の最後を飾る「ヒトのペニス」を手に入れるまでを追った異色のドキュメンタリー。
館主シグルズル・ヒャールタルソン氏が40年にわたって収集してきた様々な動物の男性器の剥製、または男性器を模したオブジェが展示された世界で唯一無二のペニスミュージアム。博物館にズラリと並べられた奇想天外な展示物の数々、男性器に魅了された館主の姿にも圧倒される。
集めていないものなどないかとも思えるほどの膨大なコレクションは、あとただひとつ、「ヒトのペニス」が加わればコンプリートできるというのだ。そこで、死後に自分のペニスを標本として提供してもいいという有志を募ることにするのだ。
「家畜も家族もいずれ死ぬ。だが、勝ち得た名声は永遠なり」というオーディンの訓言は、館主と提供者たちの人生に向けられたものだろう。
下ネタかと思われるかもしれないが、映画は至って真面目な内容。館長は案外普通の人で、元教師で現在は書籍の翻訳も手掛けるインテリ。自分のコレクションを博物館に展示して役立てようとする教育者らしい考え方の持ち主だ。個人的な趣味のコレクション(収集品)は、数が増えればやがて学問的なセレクション(選定品)となって、その過程で得た面白い知識を人々に還元していく姿勢を趣味人として尊敬できる。
自身の死語にペニスを提供すると契約を交わした老人は、数々の武勇伝を持つ立派な冒険家だが、もうひとりの提供者として現れるアメリカ人男性はけっこうヤバイ人だ。巨大な大陸では、日本なんて比じゃないくらいの確率で、普通に変な人がそこらを彷徨いていることがわかる。
かなり引っ掛かったのは、「法的な長さ」のはなし。私はことがはじまれば余裕でその基準を満たせるので、普段お子ちゃまサイズだからって舐めないでいただきたい!