ねぎおSTOPWAR

セシボンのねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

セシボン(2015年製作の映画)
4.1
《韓国の軍事政権時代を描いた映画》のくくりにある今作。???実在のフォークグループを題材にした人間ドラマが何故???・・と思っていましたが、なーるほど!
・音楽業界への弾圧
・夜間外出禁止令
・ミニスカート禁止!笑
世間が見える映画だったのですね。

実際に活動したフォークデュオをベースに「もしデビュー前に脱退したもうひとりのメンバーがいたら・・」という脚色を加えたストーリーです。
その空想の人物がオ・グンテであり、チョン・ウが演じます。チョン・ウと言えばこの映画の次に出演した「ヒマラヤ」ではファン・ジョンミンの愛弟子ムテク役を好演した方。Filmarksの出演者登録数は異様に少なく、本来チョイ役でも「ユゴ」やら色々出ています。
そしてこのオ・グンテ(チョン・ウ)と恋に落ちるのが(われらが)ハン・ヒョジュちゃんです!失礼ながら彼女はとびっきりの美人ではないのに、いつの間にか男の心にちょこんと居座り、その笑顔がかけがえのないものに思えてくるんですよねー。デビュー作の「春のワルツ(TV)」でハマりました。「華麗なる遺産(TV)」「トンイ(TV)」もいい!
「セシボン」での彼女は新たな発見でした。かつての彼女の役柄にはない、「えっ!?」という決断をするからです。そこのね、チョン・ウとハン・ヒョジュの顔アップの切り返しはグッときます。

また、出演者にキム・ユンソクさんの名前があるのに「あれー、出てこないなあ」と思っていたら、二部構成なんですね。オ・グンテのその後をキム・ユンソクさんが演じています。「あれがこうなるかぁ??」・・は置いておいて、この間にどんな思いがあったのかを観客に感じさせる演技はさすがの一言!!こういう”隙間”芝居うまいなあ、この人は。

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劇中で彼らが歌うのはほぼ洋楽のカバーです。
オリジナルが作れなかったわけじゃなく、プロデュース側の問題だったみたいです。これらの曲、最初はどうも軟弱に聞こえてしまってどうにもね、臍がかゆい始末。・・しかしいつの間にやら沁みてくるんだよなあ。二部にあたるパートで<あの頃の曲>として流れるあたりは郷愁たっぷりにじわーっと来ます。

街並みや衣装など、日本で言えば「三丁目の夕日」みたいにノスタルジックな画面です。2015年の公開ですけど独特な味わいの映画でした。


〈231〉