ルサチマ

カリブ・愛のシンフォニーのルサチマのレビュー・感想・評価

カリブ・愛のシンフォニー(1985年製作の映画)
4.7
則文によるメキシコロケの東宝アイドル映画。これまたハンパねぇ傑作。再評価されるべき一本。

あり得たかもしれぬ者との間で起こる正面カットの切返し。その切り返しの中で松田聖子の前に立ち塞がる壁はこれ以上先へ進むことを常に制止するためにあり、松田聖子は闘牛場の牛さながら盲目的に体当たりして空振り続ける。彼女が剣で刺される闘牛に目を覆い隠したのは生理的な反応なんかではあり得ない。覆わなければこの先にある未来を信じることができない辛さを直感的に知っている。

『或る夜の出来事』のカーテンと『わが幼少時代のポルト』みたいな記憶の旅に松田聖子の歌が滲みる。
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