ヒロ

コスモスのヒロのレビュー・感想・評価

コスモス(2015年製作の映画)
4.2
先週の『シルバーグローブ』での失敗を経てズラウスキー対策は万全。核なるものに装飾を施しながら膨らましていく内から外への増殖がベーシックな映画づくりだと思うが、この監督の作品ではその鑑賞法は望ましくないというか通用しない。能動的詮索を放棄し積極的被陵辱の姿勢を貫き、鑑賞後に描かれていたピースを再構築していくと枠としての核が見えてくる外から内への濃縮というかなんというか。連続で観るな瞬間で捉えろ的な、肉を切らせて骨を断つ的な姿勢で見ていけばめちゃくちゃおもしろかった。マイナスとマイナスを掛け合わせればプラスになるように、カオスとカオスを掛け合わせれば秩序ある小宇宙コスモスが生まれたと、詰まるところ完熟前の男から女への恋心をよくもまぁこんな破茶滅茶に描けるなと。一つ屋根の下内に内に押し寄せられた関係性が爆発して外へと向かっていくというか逃避していく、的外れかもしれないがオリヴェイラの『カニバイシュ』を感じた、ラストに暗殺の森ダンスしてくれたらよかったのに。楽しかったがHPはかなり削られた。

【新文芸坐シネマテーク Vol.21 アンジェイ・ズラウスキー】
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