クリスマスイブの前夜に発生した1件のひき逃げ事故。その事故を複数の人間の視点から捉えたイタリア発のサスペンスドラマ。
小さな不動産屋を営み投資で一攫千金を狙うディーノ。富豪の妻なのに満たされない日々を送るカルラ。ディーノの娘でカルラの息子のマッシと付き合うセレーナ。
本作の物語はこの3人それぞれのチャプターに分かれて展開し、最後の4つ目のチャプターで総仕上げ。冒頭で起こるひき逃げ事故とどう繋がるのかという面白い構成になっています。
最初のディーノの章だけでも、投資で失敗して全財産失いそうになる危機的状況で早速見応えがありました。そこから見え隠れする人間同士の階級格差や欲望などの複雑な関係。
それは全ての章で描かれていて、人間関係の嫌な部分を見せつける内容になっています。そしてラストはタイトル通り人間の値打ちについて言及する形。
劇中誰もが焦り、もがいて行き場の無い苦しみを味わう場面があります。どんな立場の人間であっても、誰でも本質は似たようなもの。そして自分にとって都合の良いようにしか考えていないものというのを感じさせてくれます。
イタリアの映画ってお洒落か陽気か感動かと言う、いずれかのイメージがありましたが、ここまで人間の内側について切り込んだ作品は珍しいという印象。興味のある方はお勧めします。