服部だった何か

人間の値打ちの服部だった何かのレビュー・感想・評価

人間の値打ち(2013年製作の映画)
3.6
1つの轢き逃げ事件をきっかけに様々な人々の人生が動く物語。というか、様々な人々の様々な事情が絡み合う過程でその事件も起こるわけで、明確なきっかけというものもない群像的ドラマ。

割と小難しいお話なんやろかと構えて臨んだものの、その語り口は意外な程に明瞭やった。
主要な登場人物の中から3人ピックアップし、3章+結末の全4章仕立て。同じ時刻にそれぞれがどんな事情を抱えててどんな選択を迫られてたのかが明らかにされる。
この形を取ると同じ時間を繰り返すことになりダレそうなもんやけど、各章で徐々に時間の範囲を大きくするという工夫があり見易かった。ちゃんとお話が進んでいく推進力を感じられたわけや。

色々な形での人間の値打ち、人間を値踏みする事を眺めた結果最終的に提示されるある種残酷な「人間の値打ち」にモヤモヤしながら劇場を後にする。
所謂サスペンスやミステリィとはまた違うその感触はなかなかどうして良かったぞ工藤。