歩くチブ

スリの歩くチブのレビュー・感想・評価

スリ(2000年製作の映画)
3.3
原田芳雄がかっこいい。アル中だけど。

90年代後半から2000年代にかけて、流行のポップカルチャーが徐々に影を潜め、ネットが普及し始めた頃。
今年の漢字が「倒」の1997年。大企業や銀行が次々と破綻し、自殺者数が毎年3万人を超え続けた灰色の時代。

アル中とスリがテーマのこの映画はそんな時代背景も重なってどんよりした空気が漂ってる。スリで盗んだサラリーマンの財布の中から遺書が出てくる場面からも、貧困と自殺が蔓延していることがわかる。

飲酒もスリも暴力もそんな時代をなんとか生き抜く為の手段で、やってることは犯罪ではあるが、それを生業とする男の確かな技術は職人と呼ぶにふさわしい。
もし堅気の職につけていれば周りから頼りにされる親方になっていたに違いない。
歩くチブ

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