コメディタッチで笑えるシーンもたくさんあるけど、軸としては男尊女卑や同性愛の問題が描かれていて真面目な映画だった。
自分を偽らなければ社会や他人に受け入れてもらえないと悩んでいる人たちを優しい目線で描いていて、その人たちがだんだんと、偏見や息苦しい世の中に屈することなく自信を持っていく様子に観ていてスカッとするし、元気が出る。
『マイケル・ムーアの世界侵略』で、イタリアには8週間も有給休暇があるというのを観て、てっきりイタリアはホワイトな会社ばかりで、男女平等や同性愛の権利なんかの面でも進んでるんだろうなと思っていたから、男尊女卑がまだまだ残っているということが驚きだった。
登場人物がみんな個性的で愛らしくて、特に主人公の豪快な叔母と、同居人の息子と、アホな彼氏がいいキャラだった。
効果音とかそういうところがちょっと安っぽさがあるんだけど、素朴な感じがしてとても感じのいい映画だった。
あの眼鏡のモジャモジャ男性の行く末がとてもよかった。
というのも、こういう、人権的な題材を扱ってるにも関わらず「ギャグ要素として雑に扱ってもいいとされるキャラ」が出てくる映画って結構あって、そういうのを見ると、結局はお前もアンダーの人間を見て笑うという安易な図式に逃げるんか…と一気に萎えてしまんだけど、そういう引っかかるものがなくて、最後まで気持ちよく観られた。
おなじくイタリアのヒューマンコメディ映画『人生、ここにあり!』がものすごく大好きなんだけど、イタリアの映画はたまにこういうカラッと気持ちいい映画があるな〜
(『人生、ここにあり!』は、精神病棟の閉鎖により病院から追い出された社会に馴染めない元患者たちと、強すぎる正義感から労組を追い出された熱血漢が手を組んで、社会との関わりや働く喜びを見出していくという、元気の出る素敵な話…おすすめ!)