特攻兵器桜花と、それを沖縄上空まで空輸する一式陸攻のクルーたちの人間模様のエンタメ映画。
CGから推察するにおそらく低予算なんだけど、キャスティングは豪華。
ほとんどの場面は一式陸攻内部なので、爆撃機の密室会話劇「メンフィルベル」の日本版といった趣もある。ミリタリー考証、時代考証にも力が入っており、電探・八木宇田アンテナに関するトピックや、機銃の打ち方をはじめ、「浅草のほおずき市」「エノケン」「アインシュタイン」などのワードが登場するシナリオも楽しい。ゲイボーイ「二村定一」を引用したのは、ホモソーシャルな軍隊内部を表現してたのかな?
クライマックスは桜花出撃。CCによる飛行シーンは最小限に抑えて、俳優さんに下駄を預けてるのとか、そういう姿勢が好もしい。
電探などの必要な技術開発が遅れているいっぽうで、桜花を多くのコストをかけて空輸していたという対比が素晴らしい。
うまくできているがゆえに、特攻を美化しているようにも受け取れてしまう。反戦なんだか愛国的なんだか、どっちかわからない着地になってしまったのは本意じゃないとは思うんだけど、案外狙ってやっているのかもしれない。
サブスクないし、フィルマークスにはサムネイルないし、Wikipediaないし、アマゾンにはDVDないしで、意外にも視聴困難な戦争映画になっている。
面白かった。