ふじこ

ブレンダンとケルズの秘密のふじこのネタバレレビュー・内容・結末

ブレンダンとケルズの秘密(2009年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

かわいい。9世紀のアイルランドのお話だそうだ。
集団で襲いに来て全てを奪い去っていくバイキングに怯える時代。

襲撃に備えて高い壁を築く事に力を注ぐ院長と、主人公で弟子の少年ブレンダン。
そこにやってくる、世界最高の装飾師であるエイダン。(美しい装丁の聖書を作る人かな?)
彼との交流、更にインクの材料を取りに行った森で出会った、狼に变化出来る精霊の少女アシュリン。
主だった登場人物はこれだけだけど、思いの外ドラマがあって良かったなあ。

皆の命や安全を考えて壁を築く院長と、バイキングが来たら勝てないし逃げるしかないというエイダン。
ブレンダンに非常に厳しい院長と、見たことのない物を見せて聞かせてくれるエイダン。
最初は少しイジワルだけれども本当はすごく優しいアシュリン。

明るいファンタジー冒険モノって感じじゃなくて、実際バイキングが来て殺されまくるし、より美しく精細に描くために怪物の目のレンズを取りに行った際、傷つきながらも助けてくれたのが人間の姿のアシュリンとの最後。
明るく美しい色彩のすぐ隣になんだか暗い澱があるみたいで、そこがむしろ好きだったなあ。

襲撃から逃げ出してエイダンと暮らし、彼が亡くなって修道院に戻ろうとした時に助けてくれた狼はアシュリンなんだろうけれど、姿を見せなかったのはなんでかなあ。あの時傷付いてもう人の姿をとれなくなったのかなとか、子供じゃないと見えないのかな、とか、色々想像出来てよかった。

ブレンダンを大切に思うが故にとても厳しくしていた事を院長は後悔していたけれど、少年だった頃に取り上げたブレンダンの描いた美しい図形を大切にしていて胸がキュンとした。遂に完成した本を見て、彼も救われたらいいと思う。
ふじこ

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